北朝鮮に越境の米兵、軍の処遇・差別に怒り 亡命意向=KCNA

[ソウル 16日 ロイター] - 北朝鮮は、南北軍事境界線を越え北朝鮮に渡ったトラビス・キング二等兵が「米軍内での非人道的な処遇と人種差別」を理由に越境したと説明したことを明らかにした。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が16日報じた。北朝鮮がこの事案について公式に認めたのは初めて。
キング二等兵は7月18日、軍事境界線の非武装地帯を視察中に韓国から軍事境界線を越えて北朝鮮に渡った。米政府当局者は意図的に国境を越えたとの見方を示していた。
KCNAによると、北朝鮮の捜査官もキング二等兵が北朝鮮あるいは第三国に滞在する目的で意図的かつ不法に越境したと結論付けた。
同兵は捜査官に対し、米軍内での非人道的な処遇と人種差別に対して怒りを抱いていたため、北朝鮮に渡ることを決めたと説明。北朝鮮あるいは第三国に亡命申請する意思を示し、不平等な米国社会に幻滅したとも述べたという。
KCNAによると、同兵は越境後、朝鮮人民軍兵士の管理下に置かれ、捜査はまだ続いている。
 北朝鮮は、南北軍事境界線を越え北朝鮮に渡ったトラビス・キング二等兵が「米軍内での非人道的な扱いと人種差別」を理由に越境したと説明したことを明らかにした。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が16日報じた。写真は7月、板門店の見学ツアーに参加する同二等兵(黒いシャツと帽子を着用)。提供写真(2023年 ロイター/ Sarah Leslie/Handout via REUTERS)
キング二等兵のおじであるマイロン・ゲイツ氏は今月、ABCニュースの取材に、同兵が軍にいる間に人種差別を経験していたと明らかにした。
米当局者はキング二等兵に関する情報を北朝鮮側に求めたものの、これまでのところ実質的な回答はないとしている。
国防総省はKCNAが伝えた発言の真偽を確認できないとした上で、同兵の安全な帰還に引き続き注力すると述べた。
ホワイトハウスからは今のところコメントを得られていない。
軍事境界線の非武装地帯を管理する国連軍司令部の報道官は、新たなコメントはないとした。

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