韓国、景気対策で公的支出110億ドル拡大 14年成長率予想引下げ

[世宗/ソウル 24日 ロイター] - 韓国政府は24日、景気刺激策を発表した。鈍化する経済成長の押し上げに向け、公共支出を11兆7000億ウォン(約110億ドル)拡大するほか、投資促進策や中小企業支援策も盛り込んだ。また2014年の成長率予想を4.1%から3.7%に引き下げた。
一連の対策は、企画財政省が半期に一度公表する経済政策報告で明らかにした。
11兆7000億ウォンの公的支出拡大は、政府の基金や機関の支出を8兆9000億ウォン(87億ドル)拡大するとともに、予算の繰り越しを最小限に抑えて支出を2兆8000億ウォン増やすことで実現を目指す。事実上の財政出動措置は、年間国内総生産(GDP)の約0.8%に相当する。
投資促進、中小企業支援策としては、韓国産業銀行(KDB)などの政府系金融機関が約26兆ウォン(254億ドル)の融資、その他金融面の支援を行う。
住宅ローンに関する規制の緩和も発表した。住宅資産価値に対する借入額の比率(LTV)やローンの返済負担を示す所得に対する債務の比率(DI)の各上限を地域、金融機関の種別に関係なく一律とし、首都ソウルやその周辺で住宅融資を受けやすくした。
今年の成長は、当初の想定ほど加速しないとの見込みも示した。2013年の成長率は3.0%。14年は4.1%(今年導入した新基準に基づく予想値)に加速すると見込んでいたが、年初の輸出低迷と内需の減少傾向を理由に3.7%に引き下げた。最新の予想については、上方修正よりも下方修正する可能性の方が大きいとの見解を示した。ただ、来年は4.0%に加速するとの予想を示した。
韓国銀行(中央銀行)は政府発表とは別に、3兆ウォン規模の融資ファシリティーを創設する計画を明らかにした。国内の生産設備に対する企業投資を促進するため、銀行は最大12兆ウォンを低金利で融資することができるようになる。
タウルス・インベストメント&セキュリティーズのエコノミスト、Kim Jong-su氏は「景気改善に向けた政府の決意はかなり固い。景気対策が必要という認識が社会で共有されている」と指摘。「政府はこれまで個別の政策に重点を置きがちだったが、今では、あらゆる方面から全力を投入しようとしている」と述べた。
韓国銀行が発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)統計によると、民間消費が2011年第3・四半期以来最大の落ち込みとなった。
旅客船「セウォル号」沈没事故で、全国からツアーのキャンセルが相次ぎ、観光に関連する全ての企業が影響を受けた。
エアー・ツアーズを経営するニッキー・ジョー氏は「国内の観光産業にとって、公的な機関の動向が極めて重要」としたうえで、事故直後に公的な機関による旅行が全てキャンセルされ、すぐに民間からも予約が入らなくなったことを明らかにした。

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