〔ロイター調査〕ブラジル、W杯の経済効果はわずか 経済の本格浮上には力不足

[ブラジリア 16日 ロイター] - ロイター調査によると、ブラジルにとって6月から1カ月間開催するサッカーのワールドカップ(W杯)がもたらす経済効果は非常に小さいとみられている。
世界中のエコノミスト116人に対して12日からの週に実施した調査では、W杯の今年のブラジル経済成長率に対する押上げ効果の予想中央値はプラス0.2%ポイントにとどまった。この程度では、4年間にわたって低迷してきたブラジル経済を本格的に浮上させるにはとうてい不十分だろう。
中央銀行の週例調査によると、今年の成長率見通しは1.7%と、南アフリカで前回のW杯が開かれた2010年の7.5%と比べると4分の1足らずにすぎない。
W杯の経済効果への悲観論が広がっているのは、当初政府が期待していた空港や交通機関への大規模投資プロジェクトの多くがいまだに完成していないという事情もある。
また10年の南アフリカや06年のドイツにおけるサッカーのW杯や、12年のロンドン五輪の事例は、大きなスポーツイベント開催国が受ける経済面のプラスが過大評価されがちなことを示されており、ブラジルもその例外ではないはずだ。
UBSのエコノミスト、ギレーム・ルレイロとティアゴ・カルロスの両氏は「ブラジルW杯の効果の大半は既に現れてしまった」と記した。
シティのブラジル・チーフエコノミスト、マルセロ・フォーリー氏は「われわれも含めてブラジルの調査機関は、経済成長のシナリオにW杯の影響を組み入れていない」と述べた。
さらにブラジル経済がW杯で打撃を受けているかもしれないことがうかがえる材料も存在する。
例えば開幕試合が行われるサンパウロなど会場となる都市ではまだホテルに多くの空室がある。航空会社は、ビジネス客がW杯開催期間を避けていることから6月と7月の需要が減少すると予想し、小売り業者はブラジルチームの試合がある日がいくつかの都市で休日となり、店舗の休業で売上高が落ち込む事態を懸念している。
それでも117人のエコノミストのうち、33人はW杯によって企業関係者や観光客、投資家の間でブラジルの評価が長期的に改善するとみている。ブラジルの評価に対してW杯がマイナスになると答えたのは19人、残りは影響は中立的との見方を示した。

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