石油掘削業界で給料高騰、マネジャーで年収3900万円も

石油掘削業界で給料高騰、マネジャーで年収3900万円も
10月15日、最も給与の高い職種といえば、投資銀行や専門医などの仕事が浮かぶが、過去数年間で給与が大幅に上昇している業界といえば、石油掘削業界だ。写真は年収50万ドルを稼ぐスタンダード・ドリリング社のオペレーションマネジャー(2012年 ロイター/Tim Chong)
[シンガポール 15日 ロイター] 最も給与の高い職種といえば、投資銀行や専門医などの仕事が浮かぶが、過去数年間で給与が大幅に上昇している業界といえば、石油掘削業界だ。
米国出身のジョナサン・ロバーツ氏(45)は、20年以上前に就いた石油掘削の仕事では、時給はわずか5ドルだった。しかし、現在ではノルウェー企業スタンダード・ドリリングでオペレーションマネジャーに就任し、年間約50万ドル(約3900万円)を稼いでいる。
海洋石油掘削事業は世界的に好況が続く一方で、陸地から遠く離れた油田プラットフォームでの数週間の生活を強いられるなど職務内容が厳しいこともあり、管理職や労働者が慢性的に不足している。
今年に入って米テキサス州からシンガポールに移ったロバーツ氏は、「(石油掘削事業で)1時間に稼げる金額は今では驚くほどだ。たった5年前にはその半分だった」と語った。同業界が1999年に労働力不足に直面した際、ロバーツ氏の給与は2倍以上に跳ね上がったという。
英石油大手BPによると、世界の石油需要は2001年からの10年間で14%拡大し、日量8800万バレルに達した。急成長を続ける新興国による需要が大半を占め、中国の石油消費量は同期間に2倍となり、1日当たり976万バレルに拡大した。
英国を拠点とするファーストストリーム・リクルートメントによると、世界に存在する石油リグ(掘削装置)は昨年には540基だったが、2012年末までには591基に増える見通しで、2013年には619基に達するとみられている。リグ1基当たり平均180人の雇用が必要と考えると、向こう12─18カ月の間に創出される雇用は1万1000人以上になる。
石油リグでのオペレーションは12時間のシフト制で、従業員は14日間勤務した後、14日間休むというスケジュールを繰り返す。こうした厳しい環境を理由に、エンジニアリングの学位取得者などは同業界を敬遠し、IT業界や他の業界での就職を選ぶことも多いという。
しかし同業界での給与は上昇を続けており、石油リグ建設世界最大手のケッペル・コープでは、2007年から2011年までに従業員数の増加は5.7%だった一方、給与は27%増え、総額14億3000万ドルに達した。同社で勤務する9割近くは石油リグ部門に所属している。
ケッペルのチュー・チャオベン最高経営責任者(CEO)は、「高給を受け取るために弁護士になる必要はない。エンジニアとしてでも高い給与を手にすることができる」と述べた。
*脱字を補って再送します。

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