今週の外為は米指標に警戒、米債利金の円転玉では思惑も

今週の外為は警戒欠かせぬ米指標、米債利金の円転玉では思惑も
8月12日、今週の外為市場は、参加者の多くが夏季休暇に入るため、薄商いのなか値が飛びやすくなり、注意が必要だ。写真は2月、都内で撮影(2013年 ロイター/Shohei Miyano)
[東京 12日 ロイター] - 今週の外為市場は、参加者の多くが夏季休暇に入るため、薄商いのなか値が飛びやすくなり、注意が必要だ。とりわけ、発表が相次ぐ米経済指標への警戒は欠かせない。指標の強弱に素直に反応するとの見方が目立つが、米債利金の円転玉をめぐる思惑も出やすく、上値は抑えられやすい。
日経平均株価の動向次第では、予想以上に下押し圧力がかかる可能性もある。
予想レンジはドル/円が94.50―98.50円、ユーロ/ドルが1.3200―1.3500ドル。
前週の外為市場で、ドル/円は大幅に下落した。株がさえない動きとなる中で、積み上がったドルロングポジションを圧縮する動きが強まり、ドル/円は一時7週間ぶりの安値となる95.81円まで下落した。
今週も株価がドル/円相場を左右しそうだ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジスト、植野大作氏は「米国債の利払いトークも出やすく、お盆でマーケットが薄いという印象がある中で、ちょっとしたことで市場が不安定になりやすい」と警戒感を示した。参加者の多くが夏季休暇に入るため、予想以上に値が振れる可能性があることには注意が必要だ。
今週予定されている米国債の償還・利払いをめぐっては、償還金は再投資される傾向が強いが、利払い金は円転される可能性があり、円高圧力になりかねない。参加者からは「実際にどの程度出るかはともかく、このあたりの思惑があるため、積極的にロングに傾けにくい」(国内金融機関)との声が出ていた。
こうしたなか、今週は米経済指標の発表が相次ぐ。13日には7月米小売売上高、14日には7月米卸売物価指数、15日には7月米消費者物価指数、8月ニューヨーク州製造業業況指数(連銀)、米新規失業保険申請件数、7月米鉱工業生産、8月米住宅建設業者指数、8月米フィラデルフィア地区連銀業況指数、16日には7月米住宅着工件数、8月米ミシガン大消費者信頼感指数速報値の発表が予定されている。
植野氏は「消費系、生産系、物価系、マインド系、住宅系でバランス良く大関クラスの指標が並んでおり、マーケットが薄い中で、内容によっては相場が動く可能性がある」と指摘。ドル/円は「良ければ上、悪ければ下と、素直なリアクションになるのではないか」との見方を示した。
国内では12日に4─6月期実質国内総生産(GDP)1次速報が発表される。仮に市場予想より成長率が低かった場合は、消費税増税に関して不透明感が浮上、「海外勢がアベノミクスで積み上げた株買い/円売りポジションの解消をさらに加速させる可能性がある」(大手邦銀)と警戒する声が出ていた。
ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は、前期比プラス0.9%、年率3.6%となっている。
(ロイターニュース 志田義寧)
*見出しを修正します。

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