GPIF、運用の弾力化を検討=関係筋

[東京 30日 ロイター] - 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、運用資産の基本ポートフォリオのリスク・リターン(期待収益)のプロファイル見直しを検討し、運用手法を弾力化する方向にあることがわかった。検討の内容は早ければ6月に取りまとめられる見通し。複数の関係筋がロイターに述べた。
運用のリスク・リターンのプロファイルを見直すことにより、たとえば株式相場が大きく値上がりし、GPIFの資産配分限度を超えた状態になっていても、無理に株式を売却する必要性を低減できる。また、債券については、相場が下落(金利は上昇)してリスクが増え、資産配分が配分限度の下限に接近しても、無理にその配分を保つための債券買いをしなくてすむようになる。
2012年11月に安倍政権が発足し、脱デフレの政策が打ち出されたことによって、日本の景況感や相場を取り巻く環境は大きく変化。このためGPIFの運用委員会は4月以降会合を重ね、将来の相場変動に対応できる体制を検討している。GPIFの運用資産額は約112兆円にのぼる。
GPIFは同年10月、会計検査院から基本ポートフォリオを検証してはどうかとの指摘を受けた。GPIFの運用の基本ポートフォリオは2006年度からリーマン・ショックを経て金融市場が激変した時期にも変更されていなかった。GPIFの基本ポートフォリオの見直しは5年ごとに行われており、次期中期計画の検討は2014年度から始まる。
今回、リスク・リターン・プロファイルの変更が検討されても、現行のGPIFの基本ポートフォリオの資産別の構成割合は変更されない見込み。GPIFの現在の資産別の構成割合は、国内債券67%、国内株式11%、外国債券8%、外国株式9%。このほかに短期資産が5%。これに加えて各配分に対して許容される「かい離比率」があり、国内の債券では基本ポートフォリオの資産構成割合に対して上下8%、国内株式は上下6%、外国債券、外国株式はともにそれぞれ上下5%となっている。
GPIFの広報担当者はロイターに対し「コメントは差し控える」と述べた。

程近文

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