世界市場は長い「病み上がり」期を覚悟せよ=BIS報告

世界市場は長い「病み上がり」期を覚悟せよ=BIS報告
 9月23日、国際決済銀行(BIS)は最新の報告書で、主要国の中央銀行が量的緩和を手じまって利上げを進めるのに伴い、世界の金融市場は長期間にわたる混乱を覚悟する必要がある、との見方を示した。NY証券取引所で8月撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)
[ロンドン 23日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は最新の報告書で、主要国の中央銀行が量的緩和を手じまって利上げを進めるのに伴い、世界の金融市場は長期間にわたる混乱を覚悟する必要がある、との見方を示した。
報告書は今年市場が動揺したことを、強い薬の服用をやめた病み上がりの患者の反応になぞらえ、米国の利上げ継続、貿易戦争の激化、欧州中央銀行(ECB)の量的緩和終了、問題を抱えた新興国の利上げを背景に、今後さらなる混乱が予想されるとしている。
BIS金融経済局のクラウディオ・ボリオ局長は「政策担当者と市場は、波乱万丈の長い病み上がり期に備えるべきだ」と記した。
警戒すべき点として、米国株が最高値を更新していること、ボラティリティの低さ、長期国債の「タームプレミアム」の圧縮、高利回り社債のスプレッドが2007─08年の世界金融危機直前の水準で推移していることなどを挙げている。
BISはまた、新興国でドルその他の外貨建て債務が積み上がっている点を改めて指摘。ボリオ氏は「危機の核心は過剰な債務だったのに、皮肉なことに現在はさらに債務が増えている」と警戒感を示した。
新興国市場向け(銀行を除く)のドル貸し出しは金融危機時の2倍以上に増えて3兆7000億ドルに達している。この数字にはFXスワップを通じた借り入れが含まれていないが、この借入額も同程度に上るとみられる。
報告書はまた、世界の国々および銀行によるトルコ向け債権についての調査結果を掲載。それによると、今年3月末時点で外銀はローン、証券保有その他合わせて2230億ドルの対トルコ債権を抱えていた。

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