「軍艦ビル」の売却見送り、最大1350億円の借り換え準備=関係筋

[東京 15日 ロイター] - 「軍艦ビル」として知られる芝パークビル(東京都港区)の売却が見送りとなることが明らかになった。複数の関係筋が明らかにした。所有している投資家グループが超低金利政策による借入コストの大幅な低下に着目。借り換えとビル賃料などによる投資資金の回収の方が、売却よりも収益性が高いと判断した。
このビルは、アジア・パシフィック・ランド(APL、東京都港区)、アブダビ投資評議会(ADIC)や香港のオルタナティブ投資会社のPAGなどが2013年に1250億円超で取得した。
この投資家グループは昨年12月に入札を開始。1600億円以上での売却を見込んでいたが、関係筋によると、入札価格の最高は1500億円にとどまった。
一方、1)今後もこのビルから安定した賃料が見込める、2)超低金利政策により借入コストが低い──ことから、借り換えで投資資金を回収する方針を固めた。
APLなどは、最大で1350億円の借り換えをする方向で銀行団と交渉している。この額は2013年のビルの取得額を上回り、仮に1350億円のローンが組まれれば、この物件の価値が今後も上昇することを前提としたリファイナンスとなる。
売り手は当初、日本のデベロッパーや政府系ファンド(SWF)など、長期に安定したリターンを望むいわゆる「コア」の投資家を買い手として想定していた。だが、そのような投資家には1600億円という価格は高過ぎたという声も業界内にはある。
芝パークビルは延べ床面積が8万3500平方メートル超に上り、多くのテナントを集めることができる利点がある。
他方、竣工が1982年と東京の多くの大型ビルに比べ古く、投資家目線に合わなかったという指摘もある。

藤田淳子、編集:田巻一彦

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