米デトロイト市は「明らかに支払い不能」状態=緊急時財政管理者

[デトロイト 13日 ロイター] 財政難に陥っている米ミシガン州デトロイト市の緊急時の財政管理者を務めるケビン・オーア氏は13日、同市は「明らかに支払い不能状態」にあるとし、債務再編や労働契約の再交渉などを通じて対応していく必要があるとの認識を示した。
オーア氏は、同日公表された同市の問題を抜本的に検証したリポートで、同氏が財政再建という責務を果たすには、多額の財政赤字や債務のほか廃屋問題など、全てに対応していく必要があると表明。「デトロイトは、コストを削減し長期債発行で資金を得ているにも関わらず、引き続き支出が歳入を上回っている。キャッシュフローでみて、支払い不能状態にあるのは明らかだ」と指摘している。
リポートによると、同市が保有する現金は6400万ドル。今年4月26日時点で2億2600万ドルの負債を抱え、現金の持ち高はネットで1億6200万ドルのマイナスとなっている。収益事業債や年金、金融商品などに絡む債務は総額94億ドルに達し、債務返済が予算の大きな重しになっている。
長期債務の返済は市の予算の20%近くを占めており、オーア氏は返済期限の変更、元本削減、金利の再交渉などを模索する可能性がある。
人件費も最大の課題の一つとなっている。オーア氏は、同氏には州法により包括的労働協約を「拒否、修正、停止」する権限が与えられているとし、全ての選択肢を検討していることを明らかにした。「すでに市の職員の多くが賃金や手当ての削減を受け入れていることは承知し理解しているが、必要あるいは望ましいと判断される場合、権限を行使する」としている。
シカゴの法律事務所、チャップマン・アンド・カトラーのパートナーで自治体再建の専門家であるジェームス・スピオット氏は、オーア氏のリポートは非常に厳しい内容だが、市と州が協調することで破綻は回避可能との見方を示した。
同氏は、緊急に対応する必要があるがパニックに陥る時ではないとし、持続可能かつ無理なく実行できる再建プランが必要、との見方を示した。

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