富士重とマツダが今期業績予想を上方修正、販売好調と円安効果で

Logos of Mazda Motor Corp are seen at a dealership in Tokyo
10月31日、富士重工業とマツダが2014年3月期の業績予想をそろって引き上げた。写真は都内のマツダ販売店で。昨年3月撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 31日 ロイター] -富士重工業<7270.T>とマツダ<7261.T>が31日、2014年3月期の業績予想をそろって引き上げた。米国などで販売が好調に推移しているほか、為替の円安が追い風となっている。
富士重は今回、通期の連結営業利益を前年比2.3倍の2780億円に、マツダも同3.0倍の1600億円に引き上げた。従来予想に比べて富士重が4割、マツダが3割の大幅な上方修正だ。
富士重は国内で生産した車両の7割を、マツダは8割を海外に輸出している。前年年4─9月期の為替レートは1ドル79─80円だったのに対し、今4─9月期は98─99円で推移しており、円安の恩恵を大きく受けている。
もっとも、業績好調の要因は円安だけではない。富士重は、4─9月期の連結世界販売台数が前年同期比12.7%増の39万3000台と、すべての半期を通じて過去最高。通期の世界販売計画を前回予想から5万5000台積み増し、80万7000台へ上方修正した。
富士重は、14年3月期の世界販売、連結売上高、各利益段階がいずれも過去最高となる見通し。会見した吉永泰之社長は、国内外の需要増に応えるため、来夏までに群馬・本工場の年間生産能力をさらに引き上げることを明らかにした。
一方、マツダは4─9月期の世界販売が前年比3.0%増の63万1000台となった。尖閣問題の影響を受けた中国や、政府の税優遇措置打ち切りの反動があるタイで販売が減少したものの、北米、欧州、オーストラリアなどでカバーした。
マツダは商品サイクルが好循環に入っている。スポーツ多目的車(SUV)「CX─5」や乗用車「アテンザ」の新型車など、生産改革によって1台あたりの利益率を高めたモデルが好調。第3・四半期以降は最量販車種である「アクセラ」の新モデルを投入し、通期133万5000台の世界販売計画達成を狙う。
政府が要請している来年の春闘での賃上げについては、富士重の吉永社長が「(従業員の頑張りに)報いたいと思っている」と述べ、前向きな姿勢を示した一方、マツダの小飼雅道社長は、賃金引き上げ以前に株主への復配ができていない」と説明。中期計画の利益目標を確実に達成することで、復配にこぎつけたい考えだ。

杉山健太郎 ;編集 内田慎一

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