G20首脳会議が閉幕、世界経済の危機脱却宣言「時期尚早」

G20首脳会議閉幕、世界経済回復への取り組み終わらずと宣言
9月6日、G20首脳会議は首脳宣言を採択して閉幕した。写真はロシアのプーチン大統領(右)とドイツのメルケル首相。同日撮影(2013年 ロイター/Michael Klimentyev/RIA Novosti/Pool)
[サンクトペテルブルク 6日 ロイター] - ロシアのサンクトペテルブルクで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は6日、世界経済には改善がみられるものの、新興国市場の動揺が拡大するなか、危機を脱したと宣言するのは時期尚早とする首脳宣言を採択して閉幕した。
米連邦準備理事会(FRB)が早ければ今月にも踏み切るのではないかともみられている金融緩和の縮小については、その影響をめぐる認識で新興国と先進国との間に温度差もみられた。
しかし結局、長期間の金融緩和に伴うリスクや意図せぬ副作用に引き続き留意しながら、各国中銀とも金融政策の将来の変更を「注意深く調整し明確に伝達」すると確約、7月のG20財務相・中央銀行総裁会議で出された声明に沿った内容となった。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は首脳宣言の内容を歓迎すると同時に、「先進国と新興国の双方は、(緩和縮小の)波及的な影響を効果的に封じ込めるため、国内で直面する課題に対処する必要がある」との見解を示した。
G20は2009年に世界的な金融危機への対処で結束。ただ現在は、米国で景気回復の勢いが加速する一方、欧州はようやく底入れの兆しを見せ、新興国からは緩和縮小観測のあおりを受け資金が流出するなど各国の経済情勢は一様ではなく、G20各国の間で立場の食い違いが出ている。
こうしたなか、インドなどの新興国は先進国の緩和縮小による影響に対する懸念を示していたが、首脳宣言で「波及的な影響」に関する言及があった以外、支援は得られなかった。
主催国ロシアのプーチン大統領は記者会見で、「世界経済情勢は5年前と比べて改善している。経済成長は回復しているが、引き続き非常に大きなリスクが存在している」と述べた。
財政健全化と成長促進のバランスについては、成長面をより重視する姿勢を継続。2010年にカナダのトロントで開かれたG20サミットで合意された財政健全化に向けたコミットメントについて、ドイツなどの国が強化を主張していたが、焦点は成長支援に移ったことで、聞き入れられなかった。
首脳宣言は「中期的財政戦略は、債務の対国内総生産(GDP)比を持続可能な流れに維持しつつ、短期的な経済情勢も考慮しながら成長や雇用創出の促進につながるよう、弾力的に実施される」とした。
また、2014年にG20議長国となるオーストラリアがシャドーバンキング(影の銀行)に対する規制強化、および保護貿易主義の制限に向けた期限の延長などを提案。成長支援の分野で新たな討議項目が提示された。
5日から2日間にわたり開かれた今回のサミットでは、1日目の夕方にプーチン大統領を議長として世界経済情勢について討議。新興国の成長鈍化懸念が出るなか、取りまとめが困難な討議となった。
ロシア財務省の国際部門を統括するアンドレイ・ボカレフ氏はロイターに対し、「最も困難で時間がかかったのは、世界経済情勢の評価に関する議論だった」と述べた。
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国(BRICS)は5日に首脳会議を開催。5カ国が為替相場の安定を目的に創設する外貨準備基金の規模を1000億ドルに設定することで合意した。ただ、世界の外国為替市場の規模を踏まえるとBRICS基金は大海の1滴に過ぎない。また、最終的な合意が得られるのは早くても来年になると見られている。
新興国について首脳宣言は、「新興市場諸国は金融市場の変動が高まるなか、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の改善や外部衝撃への弾力性拡大、金融システムの強化など、成長支援や安定性維持に向け必要な措置を講じることで合意した」としている。
今回のサミットで日本とインドは6日、2国間の通貨スワップ協定の交換限度額を150億ドルから500億ドルに拡充することで合意。麻生太郎副総理兼財務・金融相とシン首相が会談し、サミット終了後に共同声明を発表した。
共同声明は「日印両国は、これが新興国を含む世界の金融市場の安定に貢献することを期待する」としている。
これまでのG20サミットではユーロ圏債務危機に揺れる欧州が中心議題になることが多かったが、欧州経済が好転の兆しを見せ始めるなか、今回は過去3年のサミットで初めて欧州問題が大きな議題とならなかった。
バローゾ欧州委員長は「今回のG20サミットでは、欧州はもはや焦点とはならなかった」と述べている。
*内容を追加して再送します。

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