フィッチ、ブラジルの格付け見通し「ネガティブ」に引き下げ

フィッチ、ブラジルの格付け見通し「ネガティブ」に引き下げ
 5月5日、格付け会社フィッチ・レーティングスは、ブラジルの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。格付けは投機的(ジャンク)等級の「BBマイナス」で据え置いた。サンパウロで2018年6月撮影(2020年 ロイター/Nacho Doce)
[ブラジリア 5日 ロイター] - 格付け会社フィッチ・レーティングスは5日、ブラジルの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。格付けは投機的(ジャンク)等級の「BBマイナス」で据え置いた。
フィッチはブラジル経済が今年4%のマイナス成長に陥ると予想し、リスクは依然下向きとした。また、財政状況の急速な悪化や政治リスクの高まりを指摘した。
「ブラジルは、バランスシートが比較的弱く経済成長も低迷した状態で現在のストレス局面に入った」とし、「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)やそれに伴うリセッション(景気後退)を受けて公的債務がさらに膨らみ、財政の柔軟性が損なわれるとともに衝撃に対する脆弱(ぜいじゃく)性が高まる」と警鐘を鳴らした。
2020年の財政赤字は対国内総生産(GDP)比13%に拡大すると予想した。これは「BB」格付け国の中央値(同6.8%)のおよそ2倍に当たる。
20年の債務についても対GDP比79.4%と、19年の75.8%から上昇すると予想。「BB」格付け国の中央値は58.4%となっている。
フィッチは「パンデミックがいつまで続くか極めて不透明なことを踏まえると、追加の財政措置は排除できない」とした上で、「裁量的支出の削減余地が限られているという状況では特に、危機後の新たな景気刺激策や既存の財政措置の延長は困難を伴う可能性がある」との見方を示した。

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