消費税は6年後に20%まで引き上げを=アニール・カシャップ教授

消費税は6年後に20%まで引き上げを=アニール・カシャップ教授
アニール・カシャップ氏は、シカゴ大学ビジネススクール教授。ニューヨーク連銀の経済諮問委員会の委員のほか、シカゴ連銀の顧問も務める。米連邦準備理事会(FRB)のスタッフ・エコノミストなどを経て、1991年よりシカゴ大学で教鞭をとる。全米経済研究所(NBER)の日本経済ワーキンググループの共同幹事でもある。
「欧州問題が落ち着けば、市場の次の関心は日本に向かう。危機が始まる前に行動を起こすべきだ」とシカゴ大学教授でニューヨーク連銀の経済諮問委員会委員を務めるアニール・カシャップ氏は警鐘を鳴らす。
消費税、デフレ対策、成長戦略に関する同氏の提言は以下の通り。
●危機が始まる前に消費増税を急げ
第一に、日本は財政の健全化を急がなければならない。支出を減らすとともに、消費税の増税が必要だろう。
私は消費税を段階的に引き上げ、向こう6年間で20%にする案に賛成だ。欧州問題が落ち着けば、市場は日本に注目し始めるだろう。日本政府は、危機が始まる前に行動を起こすべきだ。
●事実上のインフレ目標の達成は必須
第二に、日銀は(2月の金融政策決定会合で決めた事実上の)インフレターゲットを是が非でも達成しなければならない。米連邦準備理事会(FRB)による非伝統的な金融政策は、デフレ対策として有効であることが証明された。一方で、失策を繰り返した日銀の過去の議論は説得力に欠くことが分かった。
今のままでは、借り手から貸し手への意図せぬ所得移転は、わずかしかリバランスされないだろう。デフレにつながる政策の継続に賛成する理由は見当たらない。
●成長戦略を定量的評価する仕組みが必要
第三に、政府は成長戦略をナンバーワンの優先課題にすべきだ。改革すべき項目のリストはとても長く、選択肢のランク付けは容易ではない。しかし、簡単な策として以下の方法がある。
政府のすべてのイニシアチブを、中長期に成長に貢献するかどうかという点に基づいて判断するのだ。具体的には、各イニシアチブがいかにして成長に貢献するかそのメカニズムを示し、可能な限り成長への貢献度合いを数値化すべきだ。
この基準に沿って政策を決めれば、政府が成長の見返りのない政策論争や政策提言のために、どれほど多くの時間と労力を無駄にしてきたかが分かるだろう。そうした努力への時間の無駄を省くこと自体、大きな前進になるはずだ。
(3月22日 ロイター)
(タグ:日本再生への提言 Fiscalpolicy1 Deflation1 Growth1)

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