「三国志」の魅力に立ち返った最新作で、乱世を生き抜く1人の侠客となれ 『真・三國無双 ORIGINS』プレビュー

武将との交流には「ネオロマ」っぽさも

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『真・三國無双8』以来、およそ7年ぶりとなる「真・三國無双」シリーズの完全新作タイトル『真・三國無双 ORIGINS』。ナンバリングを取り去り、アクションやゲーム進行に至るまで多くの点で刷新を施した本作の前半部分をプレイする機会を得たので、今回はその詳細に迫っていきたい。なお、今回使用したプレビュー版は製品版とは内容が違う可能性もある点は留意されたい。

いわゆる「無双」と呼ばれ、ジャンルがすでに広く認知されているように、「真・三國無双」と言えばたくさんの敵を簡単な操作でサクサク倒せる爽快なゲーム、というイメージが強い。また、「三国志」の武将を魅力的に描くことで、「三国志」というコンテンツの人気を長らくけん引してきた側面もある。しかし、シンプルかつ強力なジャンルイメージを有するがゆえに、「真・三國無双」はナンバリングを重ねるにつれ、根本的なアクションの硬直化やキャラクター数の増加により、シリーズとしての方向性に迷いが生まれつつもあった。詳細は、シリーズを長らく愛してきたライターの山川純によるこちらのコラムに詳しい。

しかしおよそ7年ぶりの完全新作となる『真・三國無双 ORIGINS』は、それらの懸念点や迷いを一蹴したうえで、シリーズファンへのサービス精神、そしてまだ「三国志」を知らない人にも届く射程をもつ手触りを備えているように感じられた。『真・三國無双 ORIGINS』の大きな軸は、まさしく前述した2点の懸念点の払拭――無双らしいアクションの現代的な再定義、そして「三国志」に登場する武将の魅力の最大化という2点にあるからだ。

主要な変更点のおさらい

まず大前提として、従来作からの変更点をおさらいしよう。多彩な武将がプレイアブルキャラクターとして実装されていた従来作と違い、今作では基本的に操作できるのはオリジナルの主人公(名前変更可)のみで、そのほかの武将は限られた者が一時的に操作できるに留まる。ストーリーも基本的にはこの主人公の視点で進む。最終的には主人公は曹操、孫堅、劉備のどの勢力に加勢するかを選ばなければならないため、途中からストーリーは分岐し、結末も主人公の選択によって変化する。また、本作では「三国志」の世界を再現した「大陸地図」上を自由に行き来してストーリーを進めていく。

主に合戦でゲームが進行することが多かった従来の「真・三國無双」シリーズは、ジャンルとしてハックアンドスラッシュにカテゴライズされることもあったが、今作はむしろ現代的なアクション要素の強いアドベンチャーとして分類するほうが適切だろう(公称は「タクティカルアクション」)。

あらゆる武将たちから好かれまくる主人公

前述したように、本作では「三国志」の世界を再現した大陸地図上を自由に行き来してストーリーを進めていく。大陸地図上には主要な街が点在し、街では武器の売買や戦闘準備、手紙の閲覧などが行える。また時折、有名武将が大陸地図上に登場することがあり、会話をすることで「依頼」、「修練」というミッションを受けたり、それらをクリアすることで武将の好感度を上昇させ、それぞれの武将固有の会話イベントを発生させることができる。

この武将たちとの交流イベントが、私が本作のプレビューを遊んでもっともびっくりしたポイントだ。というのも、とにかく武将たちが主人公に好意的なのである。主人公はゲーム開始時点では記憶喪失になっているものの、とある宿命を背負った人物であり、なおかつさまざまな合戦でかなり活躍するため、自然と世間の注目を集めていく。しかしそれにしても、この主人公、あらゆる人からめちゃくちゃ好かれる。

その好かれぶりはもちろん通常のストーリーイベントでも感じ取れるが、好感度が一定値に達するごとに発生する各武将の専用イベントでは一層実感できる。敵対するイメージの強かった董卓も、黄巾の乱までの主人公の活躍ぶりを見てその実力を認めていく個別のイベントを見ることができるし、貂蝉とも主人公は深い関わりを持つ。貂蝉との距離が縮まるほどに、「呂布に見つかったら大変だ……」と気が気でない。張飛からも「四兄弟でもう一回、桃園の誓いをやろう」と言われてしまい、しかし好かれれば好かれるほど、いつかどこかの勢力に属するかを決めなければいけないという現実に心から寂しくなる。

合戦やイベントで邂逅し、互いに顔見知りの関係になり、フィールドで時折発生するイベントを楽しみつつ好感度を上げて関係を発展させる……目標に向かってひたむきに努力する主人公にいつしか周りの人間も惹かれていく……この感じ、何かに似ていると思ったら、同じくコーエーテクモゲームスの擁する女性向けゲームブランドの「ネオロマンス」だ。そしてこの「ネオロマンス」なテイストは、「三国志」という題材に非常にマッチしてもいる。

というのも、個々の武将との関係や、それらの武将が自分を戦友として求めてくれる様子を通じて、「三国志」のいちばんの魅力はやはり、個性的な武将たちの人間模様や生き様だと再確認できたからだ。国が斃れる戦乱の世において英雄として立つためにはどんな財産よりもずっと、互いに命を預けるに値する傑物が重要であるし、「三国志」の魅力を追体験することを重視するならば、プレイヤー自身がその傑物となることが最適な手段となるだろう。『真・三國無双 ORIGINS』で発生する個別の武将とのイベントは、プレイヤー自身こそが「三国志」の魅力を形作る武将であると認識させ、その重責と心地よさを追体験させるものとなっているのだ。そして絆を深め合ったからこそ、戦場で対峙したときの切なさもより深くなる。

各武将の好感度に関しては、大陸地図上に存在する水鏡庵で現在の状態を調べられるほか、庵の主である水鏡先生(のちに龐統)にお金を払うことで各武将から課せられた修練を達成せずとも好感度を上昇させることが可能。修練の内容にはなかなかクリアが難しいものもあるので非常にありがたい。

史実に基づいてストーリーが進行するため、どれほど関係性が発展しても歴史上で死んだ人物は死ぬという残酷な現実もあるはずなのだが、本作がマルチエンドであることも考慮すると、主人公が所属した勢力によっては生死についても変化があるのかもしれない。赤壁に至るまでの展開を知っているプレイヤーも、そして「三国志」を知らないプレイヤーならばなおさら、この先武将たちに何が起こるのかを不安と期待を持って見守っていくことができるだろう。

起承転結がデザインされ、尻上がり的にクライマックスに向かっていく合戦

今回のプレビューで二つ目に驚いたのは、黄巾の乱や虎牢関の戦いなど、ストーリーのターニングポイントとなる大きな合戦での戦場の圧倒的な臨場感だ。

合戦開始と同時に拠点を制圧し、戦場の最奥に待ち受ける総大将の部隊を叩く、という流れは従来のシリーズ作品とあまり変わらない。しかし、その一連の流れがよりドラマティックになったように思う。映画のストーリーの起承転結のように緻密に設計されていることが、今作ではプレイを通してかなり強烈に感じられる。

ドラマ性を一層帯びた合戦においてもっとも目を惹くのが、合戦の重要な局面で生じる、大きな部隊と大きな部隊の戦いにおけるクライマックス感だ。本作では一定以上の規模の兵士の軍団(多くの場合、ボス格の武将が率いている)は「大軍団」として機能し、敵の大軍団を瓦解させるために適宜動いていくことが求められる。

そんな敵と味方の大軍団同士がぶつかり合う様のスペクタクルはすさまじい。大量の軍勢が地平を埋め尽くし、それぞれの兵士が個別に対峙する中で大きなうねりを生む景色は、赤壁の戦いを描いた『レッドクリフ』や、春秋戦国時代を舞台にした「キングダム」シリーズなどの映画で多くの人の脳裏にはあるけれど、『真・三國無双 ORIGINS』では、その光景を1人の兵士として体験することができる。

乱戦の中でももちろん、戦局は動く。ときに敵武将が戦局を大きく動かす命令「大戦法」を発動させれば、それを阻止するために「一定数以上の兵士を倒す」や「特定の武将を倒す」などの定められた条件を満たすために動かなければいけないし、味方武将が大戦法の準備を開始すれば、「一定時間、特定の武将を守る」などの発動条件を満たすために一時的に守りを固める必要も出てくる。映画のような迫力ある戦いの中で、主人公は冷静に状況を見極め、うまく立ち回らなければいけない。

ジャストガードやジャスト回避に重点が置かれた現代的なデザインのアクション

拠点攻略の際に必須となるのが拠点を守る武将との戦いだ。一騎当千を目指して大量の敵をなぎ倒しながら、要所要所では一対一のアクション要素の強い戦闘が発生するというのが、シリーズでおなじみの景色となっている。『真・三國無双 ORIGINS』では、プレイアブルキャラクターが基本的には主人公のみとなり、アクションの多様性が1人に集約・整理された。そのうえで、アクションの内容や敵武将との駆け引きにも大きな変更が加えられている。特に武将との一対一の戦いにおいてその変化は顕著で、無双らしい敵をなぎ倒していく派手な動きの中に、近年のアクションゲームの定番であるジャストガードやジャスト回避などが攻防の駆け引きとして綺麗に織り込まれている印象だ。

たとえば、敵武将には通常の体力のほかに「外功」というパラメータが設定されており、外功をゼロにすることで大ダメージのチャンスが到来する。外功は攻撃のあとなどに生まれる隙を突くことで削ることができるほか、ジャストガードにあたる「弾き返し」で敵をひるませることでも大きく減少させられる。また、オレンジ色のエフェクトが発生するガード不能な攻撃に対しては、「発勁」の効果を持つ「武芸」(闘気というゲージを消費して使用する攻撃用アビリティ)を当てることで敵の攻撃をキャンセルできる。ジャスト回避に相当する「見切り」で敵の攻撃を避けた場合は、武芸に必要な闘気を回復できるので、攻め手に専念しすぎた場合はガードよりも回避が有効になることもある。このように、戦場では敵武将の行動に合わせて最適な対応を取っていく形でのアクションが要求される。

主人公の使用武器は全部で9種類存在し、それぞれの武器にまったく違った特性、コンボが用意されている。武芸もそれぞれの武器に対応したものが数多く存在するため、戦い方やコンボなどはおそらくいくらでも深堀りできるだろう。説明だけ読むと複雑な操作にも思えるが、弾き返しの入力タイミングの猶予や敵武将の攻撃モーションのわかりやすさ、全体的な戦闘のテンポのよさなどと相まって、実際に遊んでみると敵の攻撃に応じててきぱきと対応でき、「なんかゲーム、上手くなったかも」と思えるアクションに仕上がっている。

難易度を下げた場合、パリィの入力タイミングにも余裕が生じるようなので、アクションが多少苦手でも武将の無双っぷりが味わえるだろう。ただ、前述した戦局に合わせた立ち振る舞いも含めると、戦闘中にできることの要素が多い分、合戦全体の難易度もそれなりに高い。あちこち奔走して戦局を立て直すうちに体力がほとんど残っていないということも頻繁にあった。今回はゲームを進めることを優先してイージーの難易度設定に途中で変更したことを書き添えておく。

武器の習熟度を上げることで主人公が強化

武器種の習熟度と主人公のレベルは連動しており、武器の習熟度が上がるたびに主人公のレベルも上昇する。主人公はレベルの上昇に応じて基本的なステータス(攻撃力や体力など)が上昇するほか、一定のレベルに達した際には新しいスキルパネルが解放される。

スキルパネルでも攻撃力など基本的なステータス上昇ができるほか、新たな武芸なども解放できる。こちらの開放には「武功」と呼ばれる経験値が必要となるが、こちらは合戦を重ねていけば溜まっていくほか、武将たちが課してくる「修練」というミッションをクリアすることでも手に入る。

武器の習熟度がレベルの上昇に直結するため、それぞれの武器をある程度まんべんなく触る必要性が出てくる。とはいえレベルがある程度揃うと習熟度の成長速度は鈍化するため、お気に入り武器にこだわって使い込んでいってもいいし、ある程度万能に使えるようにしておいて合戦ごとに武器を使い分けてもいいだろう。どの武器もそれぞれ尖った特徴を有しており、バランスタイプの剣や槍、ボタンホールド中はずっと攻撃を続けられる棍、敵の攻撃を受けて反撃のための力を溜める矛など、プレイヤーごとにお気に入りは変わっていきそうだ。個人的には外功の削り性能が高い双戟が特にお気に入りだ。

キャラクター数の膨張による希薄化とアクションの硬直化。長く続いたシリーズ作品だからこそ迷い込んだ隘路を突破するため生まれた大きな変化は、『真・三國無双 ORIGINS』の魅力の大きな軸となって新たな「真・三國無双」の姿を見せている。本作は「赤壁の戦い」までを描くことが発表されているが、過去作の魅力を背負ったままで新たな側面をも見せる無双武将たちと挑む赤壁が、いったいどんな景色を描くのか今から非常に楽しみだ。

なお、先日告知されたとおり、「汜水関の戦い」をプレイできる体験版の配信が始まった。汜水関の戦いはTGSでもイベント用の特別版の試遊展示が行われていたが、今回の体験版では製品版と同様のシナリオ展開でプレイできる。また、武器は剣、偃月刀、朴刀、飛圏の4種から選択でき、武芸や宝玉、装飾品のカスタマイズ、難易度や各種設定も変更できるため、製品版に近い内容をプレイ可能だ。

『真・三國無双 ORIGINS』は、PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)向けに2025年1月17日に発売予定だ。2025年1月16日までにダウンロード版を予約した場合は、プレオーダー特典として『Wo Long: Fallen Dynasty』とのコラボレーションである、ゲーム中で使用できる主人公衣装「逸名者の戦衣」を入手できる。

また「真・三國無双」ファンにはおなじみの、オフィシャルブックなどが同梱された「TREASURE BOX」も同時発売される。ソフトはダウンロードで買いたいというユーザーにもありがたいグッズのみの販売や、オフィシャルブックなどをデジタルで楽しめる「Digital Deluxe」も用意されているので、特典内容の違いも併せてチェックしてみてほしい。

本作の関連リンクは以下のとおり。

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真・三國無双 ORIGINS

Omega Force | 2025年1月17日
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