8月の読書まとめ

麻耶雄嵩と今野敏の本を主に読んだ。麻耶雄嵩の本はミステリの本として読むと非常に楽しい。今野敏の本は日本推理作家協会賞受賞してるのもあるけど、ミステリ要素は、僕に言わせるとほとんどなくて、真相がどうのこうのとか、黒幕がどうのことかはあっちに置いといて、単純に楽しい。

2013年8月の読書メーター


読んだ本の数:11冊
読んだページ数:4421ページ
ナイス数:34ナイス

夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫)夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫)の感想
孤島系本格ミステリをベースにドグラ・マグラ的再帰構造とエヴァンゲリオン的衒学要素、謎解き要素をミックスしてできたアンチミステリ。とりあえず長いが読後、考察サイトを見る事でまた楽しめる。私はけっこう好きなタイプの本。
読了日:8月4日 著者:麻耶雄嵩
痾 (講談社文庫)痾 (講談社文庫)の感想
絶望系サスペンス。ミステリというよりはサスペンスな気がする。もともとダークサイドにいた烏有さんが、記憶喪失によってライトサイドに復活するが、再度ダークサイドに堕ちる話(笑)だが、感情の躍動感があってけっこう面白い。前作との繋りもあるし。ただ、やっぱり登場人物のネーミングセンスは理解しがたいw
読了日:8月7日 著者:麻耶雄嵩
あいにくの雨で (講談社文庫)あいにくの雨で (講談社文庫)の感想
ネタバレするので注意。高校生が主人公。だからといって爽やかでどこか未熟な物語を期待すると痛い目にあう。親友が関係した密室殺人事件と高校生徒会での内部工作の両輪で進んでいく。特筆すべきなのは、密室のトリックを解説する13章から本作が始まっていること。故に読者は誰が犯人かを気にしながら読んでいくのだが、巧妙にミスディレクションするように仕掛けてあるように感じた。冒頭の13章で探偵的役割とワトソン的役割を登場人物にあてはめることで、読者としては暗黙のうちに通常のミステリの枠組み、すなわち探偵的役割を与えられた人
読了日:8月12日 著者:麻耶雄嵩
隻眼の少女隻眼の少女の感想
まったく、麻耶雄嵩の作品の探偵はクソ野郎ばっかだ(注:誉め言葉)。麻耶雄嵩の作品らしく、本作の探偵も通常の本格ミステリ的探偵とは異なる性質をもつ。通常の探偵は探偵とは独立に発生した事件に依頼等で関係していくが(クイーン後期とかは除く)、本作探偵は自分で事件を起こし、自分で手掛り(偽)をばらまき、それらを取捨選択し自分の都合の良いように推理を組立てていく。なんて野郎だ。本作が2部仕立てなのは上記の特殊性から必須、読み終わる前は疑問だったが。しかし、主人公に救いが無さすぎて悲しい。本当に種馬だったとは(笑)。
読了日:8月18日 著者:麻耶雄嵩
神様ゲーム (講談社ノベルス)神様ゲーム (講談社ノベルス)の感想
児童向けレーベルというのがまず驚き。その理由は2点。結末で結論だけ述べその解説が無いという点、そして主人公の人生に対する絶望感、信頼していた人に裏切られた失望感が漂う点。こんなん子供に読ませられない(笑)。鈴木君が神様だと思うと物語はシンプル。曖昧な要素は偶然で片づく、鈴木君は正しいから。ただ、主人公の推理を否定する要素がないこと、鈴木君が神様である保証がないことから釈然としない所が残る。それを言ったら、普通の推理小説の探偵が虚偽の証拠を使用していないこと、虚偽の推理をしていないことにも保証はないんですが
読了日:8月18日 著者:麻耶雄嵩
隠蔽捜査 (新潮文庫)隠蔽捜査 (新潮文庫)の感想
アマゾンで安かったので購入して読んでみたら思いの外面白かった。警察が舞台。主人公が刑事じゃなくて官僚ってのが特殊かな。勇気、友情、勝利じゃないけど、そんな感じでよかった。
読了日:8月20日 著者:今野敏
震度0 (朝日文庫 よ 15-1)震度0 (朝日文庫 よ 15-1)の感想
ロクでもない大人達が警察の中でくりひろげる、めちゃくちゃ劇。様々な人物の視点から物語は描かれるが、その人物がたいてい小物のクズばかりであきれるw どうせなら視点を固定して徹底的にクズっぷりを描いて欲しかったと思う私は異端なのかwww
読了日:8月24日 著者:横山秀夫
博士の愛した数式 (新潮文庫)博士の愛した数式 (新潮文庫)の感想
主な登場人物は元数学教授と家政婦の私、そして家政婦の息子の3人。特徴的なのは元教授の記憶が80分しか保たないこと、数学の話題が随所で語られるところ。 3人の日常生活を心理描写、情景描写を使いゆっくりと語る。とりあえず、万人向け。映画になったのも納得かな。こういうタイプの記憶障害の元ネタってあるのかなあ?メメント?
読了日:8月26日 著者:小川洋子
貴族探偵貴族探偵の感想
作者の作品は本格ミステリの皮を被ったアンチミステリが多いが、本作はアンチミステリの香り漂う真面目な本格ミステリである。短編が5編、どれも伏線も上手くはってある。個人的には2番目の話が5つの中では一番お気に入りかな(3番目も良いけど叙述は個人的には、あんまり。でも、面白かったですよ)。ただ、探偵が鼻持ちならないのは相変わらずであるが(誉め言葉ですよw、念の為)。
読了日:8月29日 著者:麻耶雄嵩
果断―隠蔽捜査〈2〉 (新潮文庫)果断―隠蔽捜査〈2〉 (新潮文庫)の感想
前作で降格人事をくらった所轄の署長になった竜崎の話。たてこもり事件と妻の入院が重なる。前作もそうだったが、本作も非常に面白い。なぜか?おそらく、典型的な勧善懲悪の話であり、原理原則をもとに合理的な判断で行動する主人公竜崎が逆境に陥いるが、苦労を重ねたあげく、事件を解決する大団円までをテンポよく緊迫感を保ったまま書いてあるから面白いんだろう。ちなみに、私もナウシカは大好きですw
読了日:8月31日 著者:今野敏
疑心: 隠蔽捜査3 (新潮文庫)疑心: 隠蔽捜査3 (新潮文庫)の感想
署長竜崎の話。本作の目玉はあの合理的判断が命のような竜崎が恋煩いするところ。アメリカ大統領来日時の警備とかテロとか正直どうでもいい(いや、よくないんですけどw、お話的にはそっちのほうが読んでいて楽しい)。竜崎がどう対処するのが大変興味あるところだったのですが、いや、そうそう開きなおれるもんではないと思うんですが、竜崎ならできるのかもしれないと何となく納得してしまう。
読了日:8月31日 著者:今野敏

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