街頭演説する参政党・神谷代表(写真:ロイター/アフロ)
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(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

国旗の損壊はけしからんが…

 日本国内において、自国の国旗を損壊する行為を罰する「国旗損壊罪」の新設をめぐる議論が再び活発化している。きっかけの一つは、同年10月に参政党が「日本国国章損壊罪」を盛り込んだ刑法改正案を参議院に提出したことである。

刑法改正案を参院に提出する参政党の神谷代表(中央右)ら(写真:共同通信社)

 現行刑法には、外国の国旗や国章の損壊を罰する規定(刑法第九十二条「外国国章損壊罪」)が存在する一方で、自国の国旗を対象とする規定はないからだ。この「不均衡」を是正し、国家の象徴としての尊厳を守るべきだというのが、新設を求める賛成論の主たる主張だ。

 外国国旗にせよ、日本国旗にせよ国旗を損壊するような行為は、眉を顰めるものであり、言うまでもなく道義的に「けしからん」ものである。筆者もそのことに対してまったく異論はない。

 ただし、その行為を直ちに刑法による罰則の対象とすること、すなわち新たな立法措置を設けることについては、慎重であるべきだと考えている。その論理は何よりも憲法が保障する「表現の自由」との緊張関係にある。