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「不可逆的な体験」を訴求--拡大する無人店舗市場、NTTデータが描く道筋とは

大場みのり (編集部)

2024-12-19 07:00

 人手不足やキャッシュレス決済の普及に伴い、無人/省人化店舗の市場は急速に拡大している。来店客が店舗スタッフを介さずに商品のスキャンや会計を行う「セルフレジ型」、商品を手に取って退店すると自動で決済される「ウォークスルー型」、スタッフを配置せずに24時間体制で運営できる「自動販売機型」など、さまざまな営業形態が登場している。

 こうした中、NTTデータはウォークスルー型店舗を実現するデジタル店舗運営サービス「Catch&Go」を開発・提供している。現在の導入店舗数は4店舗だが、ダイエーやローソンなどの小売企業が導入しており、食品スーパー「イオンフードスタイル横浜西口店」や、期間限定で営業中のコンビニエンスストア「ローソンS Lawson Go+toks二子玉川店」の運営を支えている。

 NTTデータは、ウォークスルー型店舗の優位性や課題をどのように捉えているのか。どのような戦略を描く小売企業に提供していくのか。Catch&Goの担当者に聞いた。

コンサルティング事業本部 法人アセットベースドサービス推進室 SDDX担当 課長の新原友美氏(中央)、同 主任の高橋誼向氏(左)、同 課長代理の西郷拓海氏(右)
コンサルティング事業本部 法人アセットベースドサービス推進室 SDDX担当 課長の新原友美氏(中央)、同 主任の高橋誼向氏(左)、同 課長代理の西郷拓海氏(右)

 Catch&Goの導入店舗では、天井に設置されたAIカメラと商品棚に内蔵された重量センサーを活用し、来店客と商品の動きをリアルタイムに認識する。来店客は、クレジットカードや「PayPay」など希望する決済手段、属性情報、電話番号などをスマートフォン上で登録後、二次元バーコードをゲートにかざして入店。欲しい商品を手に取ってゲートを出ると、自動的に決済が完了し、購入履歴を確認できる。

 NTTデータ本社内の店舗では、AIカメラが約30台、重量センサーが約800個設置されている。NTTデータは2021年9月からダイエーと共同で同店舗を展開しており、新たな技術の実証実験の場と位置付けている。面積は約37平方メートル、SKU(最小の品目数単位)数は約750で、一度に10人まで入店可能だ。

 同店舗は平日平均1000人ほどが利用し、昼間のピーク時には200人ほどが来店するが、レジ業務を不要とするCatch&Goにより、商品を補充するスタッフ1人のみで常に運営できている。

NTTデータ本社内の店舗。12時ごろになると、同社従業員が次々と来店し、購入商品を手に取って素早く店を後にしていた
NTTデータ本社内の店舗。12時ごろになると、同社従業員が次々と来店し、購入商品を手に取って素早く店を後にしていた

 Catch&Goでは、3種類のパッケージを用意している。コンサルティング事業本部 法人アセットベースドサービス推進室 SDDX担当 主任の高橋誼向氏によると、店内のレイアウトをあらかじめ設定しておくことで、導入にかかる時間や労力を抑えられる点が評価されているという。「MINIパッケージ」は、売り場面積が約3坪、最多品目数が約200SKU、「BASEパッケージ」は約5坪、約400SKU、「PROパッケージ」は約7坪、約600SKUとなっている。

 コンサルティング事業本部 法人アセットベースドサービス推進室 SDDX担当 課長代理の西郷拓海氏は「日本における労働人口の不足は今後も深刻化が予想されるので、既存の顧客企業だけでなく多くの引き合いがある」と手応えを述べる。

 無人/省人化店舗では、ハードウェアの故障、ソフトウェアの不具合、インターネット接続の障害など、システム障害による影響が懸念される。これに対し、NTTデータは障害を検知した場合、それぞれの原因に基づいて迅速に対応するとしている。

 例えば、Catch&Goにおける購入商品の認証精度は99.8%だが、誤認識が発生した場合は、消費者が専用アプリの問い合わせ画面から連絡することで、同社が対応する。セキュリティ上のリスクについては、外部企業による脆弱(ぜいじゃく)性診断を定期的に実施している。

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