セールスフォース・ドットコムは7月15日、コンタクトセンター向けのパッケージソリューション「Service Cloud Voice」の国内提供を開始した。Service Cloud Voiceは、同社のCRM(顧客関係管理)ソリューション「Service Cloud」にAmazon Web Services(AWS)のコンタクトセンター基盤「Amazon Connect」を統合したもの。
米SalesforceとAWSは2016年から連携しており、2021年6月にパートナーシップを拡大すると発表した。今回のパートナーシップでは、AWSとSalesforce製品の統合を強化することで、顧客価値のさらなる向上を図る。その一環として、Service Cloud Voiceの提供に至ったという。
Service Cloud Voiceは、Service Cloudの拡張機能として提供される。ユーザー1人当たりの税別価格は、Service Cloud Voiceが月額6000円、Service Cloudが月額1万8000円から。
コロナ禍に伴いEC(電子商取引)サイトの需要が増加しているほか、省庁や自治体は新型コロナウイルス感染症に関する問い合わせ窓口としてコンタクトセンターを設置している。一方、コンタクトセンターは大人数の従業員が限られた空間で顧客対応を行う業務形態のため、リモートワークの実施が一層求められている。
執行役員 ソリューション営業本部長の湯浅雅達氏は、Service Cloud Voiceについて3つの特徴を挙げた。
1つ目は、Service CloudとAmazon Connectが統合することで、初期コストを抑えながら短時間でシステムを構築できる。これにより、在宅勤務への素早い移行や突発的なコンタクトセンターの立ち上げも可能になるという。加えて、年3回のバージョンアップにより、導入後も継続的に機能が追加される。
2つ目は、音声チャネルにチャットやメールなどのデジタルチャネルを組み合わせることで、チャネルを横断してパーソナライズされた顧客体験を提供できるという。
3つ目は、人工知能(AI)を活用した文字認識技術によって、消費者とエージェントの通話内容をリアルタイムにテキスト化することができる。またAIはエージェントに対して、テキスト内容とService Cloudに格納されている消費者の情報を基に、消費者に提案すべきアクションやお勧めのFAQ(よくある質問)をレコメンドする。現場を管理するスーパーバイザーは、消費者とエージェントのやりとりを専用の画面で把握できる。
マーケティング本部 プロダクトマーケティングマネージャーの大竹絢子氏は、Service Cloud Voiceの利用画面で表示される情報を説明した。エージェント用の画面では、図1の左端に通話している消費者の基本情報や応対履歴、中央に会話内容をAIがテキスト化したもの、右側にAIが推奨する次のアクションを表示する。
図1(出典:セールスフォース・ドットコム)
スーパーバイザー用の画面では、勤務中のエージェントの状況を可視化し、一件当たりにかけている時間や業務量を表示する(図2)。スーパーバイザーはエージェントと消費者の会話内容を確認し、必要に応じて指示を出すことができる。
図2(出典:セールスフォース・ドットコム)