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HPE、エッジコンピューティングで宇宙探査加速目指す--「Spaceborne Computer-2」打ち上げへ

Asha Barbaschow (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-02-12 14:23

 Hewlett Packard Enterprise(HPE)と米航空宇宙局(NASA)は米国時間2月20日、「Spaceborne Computer-2」を軌道に打ち上げる。高度な商用エッジコンピューティングで宇宙でのリアルタイムのデータ処理を実現し、宇宙探査を加速させるとしている。火星などへのミッション向けにコンピューティングリソースを構築するといった究極的な目標が視野にあるようだ。

宇宙ステーション

 Spaceborne Computer-2は今後2~3年間、国際宇宙ステーション(ISS)に設置される。このエッジコンピューティングシステムにより、研究に取り組む宇宙飛行士が、地球とのデータ送受信を遅延なく行い、人工知能(AI)を使った衛星画像のリアルタイム解析などのプロジェクトで、即座に知見を得られるようにしようとしている。

 HPEは、このマシンを利用し、宇宙で医療画像処理やDNAシークエンシングなどのさまざまな実験でインサイトを得るまでの時間を高速化させ、大量のリモートセンサーや衛星から重要な知見を解き明かすことなどを期待している。

 初代「Spaceborne Computer」は、2017年に宇宙に打ち上げられ、ISSでの615日を経て、地球に送り返された。

 Spaceborne Computer-2の打ち上げは、Spaceborne Computerの実績をベースとするものだ。NASAとのパートナーシップの下で開発され、2017年に打ち上げが行われた概念実証で、ISSで当初1年間とされたミッションが実施された。地球で利用されている手頃な商用の既製サーバーで、専用に設計されたソフトウェアベースの強化機能を備えたものが、ロケットの宇宙への打ち上げにともなう振動などに耐え、さらにISSでシームレスに稼働できるかどうかをテストすることを目的としていた。

 概念実証では、ISSもしくは地球低軌道(LEO)における、より信頼性に優れたコンピューティング能力の必要性に対処した。これまでは無重力と高レベルの放射線という過酷な環境が、コンピューティング技術をホストするために必要なIT機器にダメージを与える可能性があり、実現不可能だった。

 HPEによると、ISSでより信頼性の高いコンピューティングを実現することは、信頼性の高い通信がミッションクリティカルなニーズとなる、人の月や火星などへの旅をサポートするというNASAの目的の最初のステップにすぎない。

 HPEでConverged Edge Systemsのソリューションアーキテクトを務めるMark Fernandez博士は、「Spaceborne Computer-2で確実な宇宙内のコンピューティングを提供することで得られる最も重要なメリットは、リアルタイムのインサイトを実現することだ。宇宙探査は、すぐに利用できるデータに基づいた研究を実施し、意思決定を改善する手段を変革できる」とし、宇宙におけるエッジコンピューティングを実現することを光栄に思う」とコメントしている。

 HPEはSpaceborne 2に、2倍の計算能力を搭載する。NASAはミッションの期間を2~3年としている。

 HPEが提供するエッジコンピューティング技術は、石油・ガス精製所、製造工場、防衛ミッションなど、地球上の過酷な遠隔地の環境で使用されているものと同じものだ。

 Spaceborne Computer-2 は、「HPE Edgeline Converged Edge」システムによる専用のエッジコンピューティング機能と「HPE ProLiant」サーバーを活用し、さまざまなデバイスからのデータをリアルタイムで取り込んで、処理する。また、地球の南極や北極にある氷冠や、医療用X線写真など、より高い解像度が必要な画像集約的データを効率的に処理できるようGPUを搭載する。このGPU機能は、AIや機械学習(ML)を用いた特定のプロジェクトにも対応するという。

 Spaceborne Computer-2は、第15回ノースロップ・グラマン補給ミッション(NG-15)で、宇宙ステーションを目指して軌道に打ち上げられる予定だ。

 また、HPEはSpaceborne Computer-2でMicrosoftによる「Azure Space」の取り組みとも連携することも明らかにしている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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