日本マイクロソフトは5月25日、都内で開催した開発者向けカンファレンス「de:code 2016」において、Windows 10を定期的なアップグレードにより進化させていく「Windows as s Service」の詳細を運用管理者向けのセッションで解説した。
「Windows as s Service」の全体像
10では「機能アップグレード」と「更新プログラム」の2種類に
セッションには、日本マイクロソフト クラウド&ソリューションビジネス統括本部 テクノロジースペシャリストの胡口敬郎氏が登壇。Windows 10で大きく変更されたアップグレードの提供方法や、オンプレミス環境、クラウド環境における管理手法について解説した。
日本マイクロソフト クラウド&ソリューションビジネス統括本部 テクノロジースペシャリスト 胡口敬郎氏
Windows 10で提供される更新プログラムは、大きく分けて「機能アップグレード」(Feature Upgrade)と「サービス更新プログラム」の2種類になる。前者は年に2〜3回提供され、従来のWindowsにおけるメジャーバージョンアップに相当するという。「内部的にはインプレースアップグレードが走り、適用中はユーザー操作も完全にブロックする」(胡口氏)とした。
2015年7月に登場したRTM版(TH1、ビルド10240)以降、機能アップグレードとしては、2015年11月にNovember Update(TH2、ビルド10586)を提供。次のアップグレードとして、2016夏に「Anniversary Update」(RS1、ビルド番号は未定)が登場する予定だ。
一方、「サービス更新プログラム」は、従来のWindowsでも提供されてきた更新プログラムに相当するものの、10からは適用する/しないを個別に選択できなくなった。「毎月1回、累積的な更新プログラムを提供している。サービスパックのように、すべての更新プログラムが一括適用される。ダウンロード量は差分提供をしている」(胡口氏)と従来との違いを語った。
更新プログラムは累積的に提供、ただしダウンロード量は差分のみ
こうした変更を加えた背景として、「従来のWindowsではインストール直後に200以上の更新プログラムを適用していた。仮に毎月5つの独立した更新プログラムが提供されると仮定すると、1年間では2の60乗通り(115京通り)ものWindowsができてしまう。これを一括適用にすることでバージョンが1つの収束し、アプリや更新プログラムの検証も容易でスピーディになる」(胡口氏)とのメリットを挙げた。
アップグレードの提供サイクルについては、CB(Current Branch)、CBB(Current Branch for Business)、LTSB(Long Term Service Branch)から選択する。機能アップグレードを即座に適用するCBとは異なり、CBBは適用時期を遅らせることができるという違いがある。
機能アップグレードにおけるCBとCBBのタイミング
LTSBは特定のビルドで機能を固定し、機能アップグレードを適用しないオプションになる。ただし、LTSBでもサービス更新プログラムを個別に適用することはできず、毎月一括して適用される点はCBやCBBと変わらないとした。
また、LTSBの注意点として胡口氏はハードウェアサポートを挙げ、「チップセットやドライバなどの対応は最新ビルドのWindowsに限定される場合がある。LTSBのサポートについては、ハードウェアベンダーに確認してほしい」と呼びかけた。
Windows 10の機能アップグレードとCB、CBBの関係