Googleは米国時間5月18日、「Google Cloud Platform」の価格帯を最大30%引き下げると発表した。同社によると、「Google Compute Engine」の全インスタンスで価格が引き下げられ、多くのワークロードで最大40%のコストダウンが実現されるという。
Googleが発表した具体的な引き下げ率は、「Standard」が20%、「High Memory」が15%、「High CPU」が5%、「Small」が15%、「Micro」が30%となっている。
2014年には、Google、Amazon、Microsoftがクラウドサービスの最安値をめぐり、熾烈な価格競争を繰り広げた。2015年に入って競争はいったん下火になり、比較的穏やかな状況が続いていたが、クラウドサービスの価格を日用品レベルまで引き下げることを目標とするGoogleが、再び闘いの口火を切った形となった。
リサーチ企業451 Researchが2014年秋にリリースした報告書「Cloud Price Index(クラウド価格指数)」によると、市場で提供されている典型的なマルチサービス型クラウドアプリケーションの平均的な時間単価は、2.56ドルとなっている。報告書のリリース当時、AWS、Microsoft Azure、Google Compute Engineの時間単価はそれぞれ2.36ドル前後と、業界の平均よりもわずかに低く設定されていた。しかし、Googleが新たに発表した価格体系では、前述のようなアプリケーションをGoogle Compute EngineのStandardで運用した場合、時間単価は一気に1.90ドル程度まで下落する。
一方、Googleは短時間の処理能力を極めて低い固定価格で提供する新しい仮想マシン「Preemptible VM」も併せて発表した。Preemptible VMは、主に短時間のバッチジョブの処理を想定した設計となっているが、可用性が需給状態によって変動する点を除けば、通常のVMと完全に同一の機能を備えている。GoogleはPreemptible VMをアイドル状態のリソース上で運用することで、大幅な価格の引き下げを可能にした。同社によると、Preemptible VMは通常のGoogle Compute EngineのVMと比較して、最大70%のコストダウンを実現するという。
なお、GoogleはGoogle Cloud PlatformのTCOを競合サービスと比較できるツールも公開している。しかし、Google、Amazon、Microsoftが過去に繰り広げた価格競争では、1社が価格を引き下げた場合には、他社も必ず同等の価格引き下げで対抗してきた経緯があるので、当面は状況の推移を見守る必要があるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。