「BYOD(Bring Your Own Device:私有端末の業務使用)」は、2014年に爆発的に人気になったトレンドであり、その勢いが衰える兆しは見えない。
これに関連するもう1つのトレンドで、2015年に勢いを保つ可能性が高いのが、「BYOA(Bring Your Own Application:私有アプリやサービスの業務使用)」だ。
モバイルアプリに関わる経済活動やクラウドに後押しされて、BYOAは企業にBYODと同様のチャンスをもたらすが、同様の脅威もいくつか生じる。BYOAは少し前からあったが、企業ITの分野で本格的に軌道に乗り始めている。
この記事では、BYOAについて知っておくべきことを伝える。
1.自社のITインフラを確認する
BYOAの普及によって、ITマネージャーには、自社の既存のITインフラをじっくりと見直す新しい機会が生まれる。持ち込まれるアプリケーションの種類によっては、社内のネットワークを支える、重要な要素が欠けていることが分かるかもしれない。持ち込まれるアプリケーションによるネットワーク利用や、帯域の消費については特に注意を払うべきだ。ネットワークの容量を追加したり、リソースの消費量が特に多いユーザーやアプリに対応したりする必要が生じるかもしれない。
2.セキュリティを詳しく調べる
おそらく、BYODやBYOAの採用で最も重要なステップは、職場に入り込んでくる、数多くのサードパーティーツールに対処するために必要なセキュリティを確実に備えておくことだ。アプリケーション自体のセキュリティ問題も確認する必要がある。
自社のBYOAポリシーの一環として、使用してよいアプリケーションのベンダーや種類を選定した方がよい。どのようなBYOAツールを使う場合でも、データを保存するのか、そのデータを暗号化するのか、どこにそのデータを保存するのかという点について、そのアプリケーションを詳しく調べるべきだ。アプリケーションがデータを送信する必要があれば、それが地理的に自社のポリシーの範囲内に収まるよう確認する。さらに、リモートアクセス機能によって面倒な問題が起こる可能性がないか、アプリケーションを調べるべきだ。そしてもちろん、考えられるコンプライアンスの問題に注意し、ユーザーに対して、会社や顧客のデータを外部システムに保管することのリスクについて認識させよう。
3.会社の関与度を決める
BYOAが自分の組織内で広がるにつれて、会社がどの程度関与するのかをあらかじめ決めておくことが重要となる。これは会社の規模によって、全く異なってくるだろう。明らかに、中小企業の関与のレベルは、Fortune 500企業のレベルとは異なってくる。
それでも、マネージャーや従業員と連携して、会社側がどういった責任を果たせるのかについて明確なガイドラインを定めることは重要である。BYOAにはトレーニングが関わってくるため、会社が最終的にサポートしてそれについてのトレーニングを行う必要があるアプリと、そうでないアプリを把握しておく必要がある。これは予算にも影響を与えるので、もし部門としてBYOAに支出する必要があるとしたら、どのくらいの金額になるのか見当を付けておくことが重要だ。
4.期待をコントロールする
BYODやBYOAはどちらも、ITのコンシューマー化という、より大きな動向の一端である。人々は「とりあえず使える」コンシューマー向けツールに慣れており、それはBYOAという流れの魅力でもある。人々が職場に持ち込むアプリの多くは、コンシューマー向けのアプリと同じようにシンプルに動くように作られている。
これがITの責任者にとっては問題になる可能性がある。とりわけ、それがほかの企業向けソフトウェアへの期待も変えてしまうからだ。従業員を引き込んで、彼らが持ち込んでいるアプリケーションと、会社が重要なビジネスプロセスを実行するために使っているソフトウェアとの違いを彼らが理解できるようにすれば、期待をコントロールすることができる。
従業員向けのポータルを立ち上げたり、プレゼンテーションやセミナー、トレーニングを使ったりすることで、学習しやすくしよう。また、ソフトウェアが複雑にならざるを得ない場合がいまだにあるのは、非常に込み入ったプロセスを扱っているためだということを説明しよう。一方、BYOAをきっかけに、自分たちのビジネスソフトウェアをより分かりやすく、ユーザーフレンドリーなものにするために努力することも必要だ。