マイクロソフトとファスト サーチ&トランスファ(ファスト)は11月12日、エンタープライズサーチ製品の戦略について説明会を開催した。これは、4月25日に完了した米MicrosoftによるノルウェーのFast Search & Transfer(Fast)の買収に基づくものだ。
マイクロソフト 執行役常務 ビジネス&マーケティング担当の佐分利ユージン氏は、「今後1年間で生成される情報の量は、人類がこれまでに生成してきた情報量を超えるとも言われている。このように情報量が爆発的に増える中、情報を選別するためのテクノロジはより重要になり、情報の見える化が求められるようになる」と話す。同氏によると、MicrosoftのFast買収は、Microsoftがこれまでに行ってきた買収の中でも最大規模だという。
マイクロソフトは、すでにエンタープライズサーチ機能を持つ製品として「Microsoft Office SharePoint Server 2007」を抱えているほか、中小規模や部門単位での検索ソリューションとして無償ダウンロードできる「Microsoft Search Server 2008 Express」を提供している。ファストの「FAST ESP」は、専門分野での検索や大規模な検索など、ハイエンド製品を求める顧客に提供する。
現在ファストの製品が導入されているのは、楽天やカカクコム、ぐるなび、日本航空など。「Eコマース系サイトに数多く採用されており、日本のEコマースではファストがデフォルトになりつつある」と、ファストの代表取締役社長 徳末哲一氏は自信を見せる。また、徳末氏は「マネーロンダリングなど不正行為の検出や、コンプライアンスのパトロール機能など、新しい分野での検索の利用も広まってきている」と述べ、ファストのソリューションが適用できる範囲は広いとした。
現在FAST ESPとSharePointの連携は、カスタムベースでのインテグレーションとして提供しているが、次期バージョンでは両製品がシームレスに連携される予定だ。また、マイクロソフトがクラウドプラットフォームとして提供する予定の「Windows Azure」について佐分利氏は、「FAST ESPのどの部分がAzureを通じて提供されることになるかは未定だが、検索機能をクラウドにて提供することは予定に入っている」と述べた。