新しいイヤホンに関して、Boseが近年重視してきたのは、プレミアム価格の高級ノイズキャンセリングイヤホンだ。ところが今回、299ドル(日本では税込み3万9600円)のフラッグシップ製品「Bose QuietComfort Ultra Earbuds」(QC Ultra Earbuds)が高すぎて手が出ない人のために、「Bose QuietComfort Earbuds」(QC Earbuds)の新型モデルがより手ごろな179ドル(同2万6400円)で発表された。新しいQC Earbuds(Boseは同製品をこう呼んでいる)は、QC Ultra Earbudsほどの性能を備えているわけではないものの、サウンドもノイズキャンセリング機能もしっかりとしている。また、QC Ultra Earbudsにはない機能もいくつか追加されている。
今回発表されたQC Earbudsは、カラーバリエーションはブラック、ホワイトスモーク、チルドライラックと、まったく新しいデザインになっている。形状は、以前販売されていた「Bose Sport Earbuds」を少し思い出すが、新型のQC Earbudsと違って、Sport Earbudsにはアクティブノイズキャンセリング機能がなかった。新型のQC Earbudsは、QC Ultra Earbudsと同様のイヤーチップと固定バンドも備えており、耳にしっかりとフィットする。
フィット感はこのイヤホンの強みの1つだ。Boseのイヤホンは、現在販売されている多くのイヤホンよりも若干大きめの傾向があるが、基本的にはつけ心地も良くしっかりとフィットする。イヤーチップと固定バンド(水泳用フィンのようなもの)はそれぞれ3つのサイズがあり、自分に合うものを選択できる。
装着すると、耳からかなり突き出た感じにはなったが(確かに見た目は少し大きい)、一番大きいサイズのイヤーチップと中サイズの固定バンドを使用した状態だと、きっちりと密閉され、フィット感もかなり安定していた。装着したまま走ってみたが、問題は全くなかった。耳の中で動くこともなく、IPX4等級の防汗防滴性能も備えている。
前述したように、QC Earbudsにはアクティブノイズキャンセリング機能があり、その性能はかなり良い。現在世に出ている中で最高と言ってほぼ間違いないノイズキャンセリング機能を備えるフラッグシップモデルのQC Ultra Earbudsほどではないものの、かなり近い。透明モード(「アウェア」モードと呼ばれる)も搭載されており、実際に使ってみたところ、非常にかすかなヒスノイズがあるだけで、自然なサウンドに感じた。これに関して、問題は全くなかった。
音質も非常に優秀だ。Boseのほかのイヤホンやヘッドホンと同様、多種多様な楽曲に合うように作られており、全体的に滑らかでパンチの効いたサウンドなので、聴いていてとても心地よい。競合製品の中には、もう少し明瞭で細かいところまで音を再現できるものもあるが、重低音に関しては、QC Earbudsの場合、ぼやけることなく、ずんずんと響いてくる。
音質に関してはQC Ultra Earbudsの域には達していない。QC Ultra Earbudsのサウンドには、もう少し深みと広がりがある(こちらはQC Earbudsよりも音が若干豊かだ)。とはいえ、QC Earbudsも音はしっかりと出ていたと思うので、ほとんどの人は音質に満足できるはずだ。
新しい「Bose QC Earbuds」(QCE)アプリには調整可能な5バンドのイコライザーが用意されているため、サウンドの微調整も可能だ。QCEアプリはQC Earbuds専用に作られたアプリで、QC Ultra Earbudsでは利用できない。QC Ultra Earbudsは、QC Earbudsと異なるファームウェアを採用しており、Qualcommの「Snapdragon Sound」と「aptX Adaptive」コーデックをサポートする。QC EarbudsはAACオーディオコーデックとSBCオーディオコーデックをサポートしている。
QC Earbudsは、QC Ultra Earbudsにはない機能をいくつか搭載している。まず、充電ケースでワイヤレス充電が可能だ。ケースはQC Ultra Earbudsのケースに比べて少し大きく、多少安っぽく感じるが、ワイヤレス充電機能がついに追加されたのである。
バッテリー持続時間も良好だ。中程度の音量レベルで最大8.5時間の再生が可能である。しかもこれはノイズキャンセリングをオンにした状態でのバッテリー持続時間だ。
2つ目の新機能は、ノイズキャンセリングモードで「オン」と「アウェア」のほか、新たに「オフ」も選択できるようになったことだ。ノイズキャンセリングをオフにするとバッテリー消費を抑えられるため、一部のユーザーはこの機能を強く要望していた。
QC Ultra Earbudsには、サウンドステージを少し広げる「イマージョンモード」(一種の空間オーディオモード)が搭載されているが、QC Earbudsはこの機能を備えていない。Boseは、QC Earbudsにも将来的にイマージョンモードが追加される予定だとしているが、それが実現するのは、何カ月も先になるかもしれない。
QC Earbudsには、イヤホン経由で音声コマンドを使用して自撮り写真を撮影する機能など、おもしろい音声コントロール機能もいくつかある。音声コマンドは、きちんと認識されないこともあった。音声コマンドモードを有効にするには、「ヘイ、ヘッドホン」と言う必要がある。試しにこのウェイクワードを言ってみたところ、音声コマンドモードがオンになることもあれば、ならないこともあった。
音声コマンドモードが有効になっている場合、音声コントロールで、次の楽曲や前の楽曲にスキップしたり、音量を調節したりできる。より標準的なタッチコントロールも搭載されており、カスタマイズすることも可能だ。試してみたところ、タッチコントロールは反応が良く、問題はなかった。
そのほかの機能としては、装着検出センサー、ゲームや動画視聴用の低遅延モード、マルチポイントBluetoothペアリングなどがあるが、マルチポイント接続をしている状態で音声コマンドを使用することはできない。同時に2台のデバイスとペアリングしている場合、どちらのスマートフォンで音声コマンドを実行すればよいのかイヤホンが判断できないからだ。
Boseによると、QC Earbudsには、ノイズキャンセリング用と音声通話用に3つのマイクが搭載されているという。音声通話の品質には、少しがっかりした。バックグラウンドノイズの低減については非常に良い仕事をしてくれるが、通話相手から、筆者の声がこもって聞こえたり、途切れたりすると言われることもあった。同じことをもう一度言ったり、声を張り上げたりしなければならないこともあった。
音声通話のテストは、ニューヨークの騒がしい通りや、風の音もする厳しい状況で行ったが、その性能は「AirPods 4」やサムスンの「Galaxy Buds3 Pro」「Google Pixel Buds Pro 2」など、筆者が最近テストしたほかの高級イヤホンには及ばなかった。使用したレビュー機に不具合がなかったことを祈っているが、音声通話の品質はもう少し改善できると思う。ファームウェアアップデートによって、アルゴリズムが微調整され、騒がしい環境でも声がもっと聞き取りやすくなることを期待している。
結論を言うと、QC Earbudsはつけ心地も良くしっかりとフィットし、音質も非常に優秀で、ノイズキャンセリングもトップレベルだと思う。個人的に新機能も気に入っている。特に気に入ったのは音声コマンドだが、音声コントロールはサムスンのGalaxy Buds3 Proほどうまく機能しない。ファームウェアのアップグレードでこの問題が修正されることを期待しよう。
イヤホン本体とケースはほかのイヤホンに比べて少し大きいとは思う。音声通話の品質に関しては、長所もあるが(バックグラウンドノイズの低減機能が優れている)、騒がしい環境では、通話相手から、筆者の声がこもって聞こえたり、途切れたりすると言われることもあった。
まとめると、小さな欠点はいくつかあるものの、筆者としてはQC Earbudsは良い製品だと思う。全体的に非常に優秀で、検討する価値は間違いなくある。140ドル(約2万500円)以下に値下げされた場合は、特におすすめできる。近い将来、ファームウェアアップグレードによって、パフォーマンスが微調整されることと、イマーシブオーディオモードが追加されることを願っている。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」