NTT東日本の渋谷直樹新社長は6月28日、就任後初の記者会見に臨んだ。リモートワークの拡大と非回線事業の拡大、そして地域社会の活性化につながるビジネスを推進する方針を示した。
渋谷氏は冒頭、「これからの経営は、利益と効率性に加えて、社会貢献と多様性が求められる。人口減少と高齢化によって、日本の地域社会は明るい未来を描きにくくなっている」と述べた。
また、長年続く東京圏への一極集中によって、経済の効率性は高まったものの、地域の特色ある文化や多様性が失われたと指摘。さらに、災害リスクを挙げ、効率性を高めつつも、国土利用を分散させた社会の実現が日本の目指すべき姿だとした。
この分散型社会を実現するために、首都圏に集中するデータセンターの分散を図り、地域のトラフィックを地域内で完結させる「ネットワークの地産地消」を掲げた。また、地域間を超遅延ネットワークで直結させるとし、ここにNTTグループが2030年の実現を目指すオールフォトニクス(光)を用いたネットワーク基盤「IOWN」を活用するとした。
地域の活性化に関しては「人手不足に自動化で対応した場合、一旦は課題が解決するが、それでも人口減少や産業衰退などの根本的な課題は残る」とし、継続的な産業育成が重要とコメント。子会社のバイオマス事業を活用し、エネルギーの地産地消を推進することで、地域循環型社会を支えるとした。
NTTグループではリモートワークの推進を掲げているが、NTT東日本は現場やコールセンターの業務が多く、リモートワーク化が進みにくい現状がある。こうした業務についても、ゼロトラスト環境の整備や、GPSと点群データの活用などによって、リモート化を可能な範囲で進めるとした。
また、事業構造については、3年後の2025年までに、光ブロードバンドを含めた回線収入を全体の50%以下にする目標を掲げた。そのために、従来から実施している法人や自治体からの受託業務に加え、地域の自治体などと密接に連携し、地域の価値を再発見する「価値創造型ソーシャルイノベーションビジネス」を伸ばすとした。
自身の性格について「強みは親しみやすくて元気で明るい。弱みは沈黙に弱く、ついついしゃべりすぎてしまうのが弱み」と述べた。趣味はアウトドアだと明かし「気分転換に海や山に行ってキャンプもするが、自然と向き合うことで、非日常で気分を変えられる」と述べた。また個人的には宇宙も好きだと明かした。
渋谷氏は京都府出身で京都大学を卒業。2014年から同社取締役 NW事業推進本部設備企画部長、2018年から代表取締役副社長ビジネス開発本部長、2020年からNTT持株の代表取締役副社長を歴任した。
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