米国時間12月9日、米大統領選の妨害を目的にロシアがハッキングを行ったとする議論に拍車がかかった。
米国の大手2紙が匿名情報筋らの話として、Donald Trump共和党候補が勝利するようロシアが画策したことはほぼ間違いないと情報機関は見ていると報じた。こうした報道を受け、Trump政権移行チームは鋭く反論した。
匿名を希望したある米高官はThe Washington Post(WP)に対し、「本件に関するロシアの目的は、一方の候補者が他方の候補者よりも有利になるようにして、Trump氏を当選に導くことだったと、情報コミュニティーは判断している」と述べた。CIAがその結論に至ったとWPは報じた。
The New York Times(NYT)も、ロシアは米民主党全国委員会のハッキングに加えて、共和党全国委員会からもデータを盗んだが、民主党に関する情報のみを流出させたと報じた。
匿名のある政府高官はNYTに対し、「ロシアが民主党全国委員会と共和党全国委員会をハッキングし、明らかに(共和党に関する)文書は公開しなかったという高い確証を得ている」と述べた。
両紙の報道はこれまで、ロシアのハッキング活動は単に米大統領選の信頼を揺るがすことを目的としていたとの疑惑に終始していたが、今回さらに一歩踏み込んだ内容となっている。
Trump政権移行チームはこれに反論し、情報コミュニティーを攻撃した。
「こうした主張をしているのは、Saddam Husseinが大量破壊兵器を保有していると述べていたのと同じ人々だ」とTrump氏の政権移行チームは両紙宛ての声明で述べた。「大統領選は、史上最多規模の選挙人団数を獲得した勝利とともにかなり前に終了している。今は先に進み、『アメリカを再び偉大にする』時だ」(Trump政権移行チーム)
Barack Obama大統領は9日、大統領選期間中のサイバー攻撃と他国の介入に関する詳細な報告書の提出を情報機関に命じていた。Obama大統領は、自身の任期が満了する1月20日までに報告書を提出するよう求めている。
大統領選でTrump氏のライバルだった民主党のHillary Clinton氏の選対委員長を務めたJohn Podesta氏と、民主党全国委員会に関連したメールアカウントのハッキングは、選挙期間中に波紋を投げかけた。
WikiLeaksは、民主党全国大会の直前に、民主党全国委員会が民主党予備選挙でClinton氏の対立候補だったBernie Sanders氏に不利になるよう働きかけたことを示唆するメールを公表した。同サイトはまた、本選挙の前にもPodesta氏から漏えいしたメールを掲載した。このメールは、Clinton氏が金融大手Goldman Sachsに対して行った有料講演の筆記録を含んでいた。
米政府はこれまでにも、ハッキングと漏えいについてロシアと関連づけており、Obama大統領は「相応の対応」を考慮しているとされていた。これに対しロシアの関係者は、同国の関与は「単純に不可能だ」と反論してきた。
12月上旬に掲載されたTIME誌のインタビューで、Trump氏はロシアが米大統領選挙に介入したとは考えていないと述べた。また米共和党全国委員会のコミュニケーションディレクターSean Spicer氏は10日、米CNNに対し、ロシアに共和党全国委員会がハッキングされたとする報道は事実ではないと語っている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」