UPDATE サイバーセキュリティの専門家らが、米大統領選の主な激戦区となった3州で投票結果の再集計を呼びかけているという。さらに緑の党の代表候補だったJill Stein氏は、十分な資金が調達できれば、ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルベニア州での再集計を要求するつもりだと述べた。
ミシガン大学のコンピュータサイエンスを専門とする教授のJ. Alex Halderman氏ら3人の専門家は、投票結果の確認を呼びかけている。電子投票マシンのハッキングが可能であることを示す大きな証拠があるという。ただし、ほとんどの専門家が、ハッキングによって国政選挙に影響を与えるのは非常に難しいはずだという見解で一致している。このようなマシンは、3州の複数の郡で使用されていたとHalderman氏は指摘している。
Halderman氏は、そのようなハッキング行為があったことを示す証拠はないと認識しているという。それでも、得票数が拮抗したいくつかの州では、不安を取り除くため、また多くの電子投票マシンが生成する紙のバックアップを常に確認するという前例を作るために、再集計する価値があると同氏は主張している。
Halderman氏は、「選挙がハッキングされたというよりも、世論調査が体系的に誤っていたというのがおそらく最もあり得る説明だと思う」とMediumのブログに記した。「しかし、このような一見あり得ないような説明のうちの一方が他方よりも圧倒的に可能性が高いとは思わない」(Halderman氏)
その点については、一部の統計学者や選挙専門家から反対の声も挙がっている。
The New York Timesの記者で選挙や人口統計関連の記事を執筆しているNate Cohn氏と、データ分析サイトFiveThirtyEightを運営するNate Silver氏はともに、世論調査と結果の違いからは不正行為があったことは読み取れないとしている。
米国各地で多数の選挙管理委員会と意見交換した選挙専門家のDavid Becker氏は、予想外の選挙結果となった理由を説明するものとして、ハッキングは世論調査の不正よりも可能性が低いと述べた。
さらに同氏は、標的に最も適した州を選び出し、欠陥があるとしても厳重に保護された電子投票マシンをハッキングすることを計画するのは、「非常に困難」だとしている。このプロセスには、何票をHillary Clinton氏からTrump氏に変えればよいかを正確に予測することも含まれるだろう。
それでもBecker氏は、候補者がその費用を負担したいというのならば再集計を支持すると述べた。ほとんどの州で、得票数が非常に近い場合を除き、結果に異議を申し立てる候補者が再集計の費用を支払わなければならないことになっている。
問題の3州のうちの2州(ウィスコンシン州、ペンシルベニア州)では、選挙結果に対して求められた審査が開始されている。審査では、自動投票機からランダムに抽出したサンプル結果をチェックして、適切に機能していることを確認する。
Becker氏は、審査で異常が検出されなければ、ハッキングの可能性は極めて低いと述べた。選挙結果への異議申し立てに向けてHalderman氏と協力する他の2人のコンピュータセキュリティ専門家らは、USA Todayの論説記事で再集計ではなく審査の重要性を説明している。
「手作業で紙の記録をすべて再集計すれば確実だろうが、結果が実際に正しいとすれば、それは不必要に難しく、費用と時間のかかる作業だ」とマサチューセッツ工科大学(MIT)のRon Rivest教授とカリフォルニア大学バークレー校のPhilip Stark教授はこの論説記事に記した。
投票数の1%を獲得したStein氏が再集計に向けて始めた資金調達活動は急速に広まり、250万ドルの目標金額のうちの110万ドル以上の寄付が寄せられている(本稿執筆時点)。同氏は25日までに、再集計要求の申請を始める必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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