ソフトバンクグループは7月28日、2016年度第1四半期(4~6月)の決算を発表した。売上高は前年同期比2.9%増の2兆1265億2100万円、営業利益は同0.2%増の3192億3600万円、純利益は同19.1%増の2541億5700万円となった。営業利益は11期連続の最高益となるという。
通信子会社の米Sprintの売上高は減少したものの、国内の通信事業やヤフー事業、流通事業の売上高が増加した。モバイルの累計契約数は、前期末から11万2000件増の3214万9000件となった。特に「Y!mobile」のスマートフォン契約が好調だったという。携帯端末の販売数は同15万5000台増の235万3000台だった。
同社は7月18日に、英国の半導体開発メーカーARM(アーム)を買収することを発表。その際に話題となったのが約240億ポンド(約3.3兆円)という買収額だ。ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏はこれに対し、「絶対額ではなくEBITDA(減価償却前営業利益)の倍率でみるべき」と語る。
同社が携帯電話事業に参入するためにボーダフォン日本法人を買収した直後のEBITDA倍率は6.2倍だったが、事業が軌道に乗ったことでこの倍率が大幅に低下。2016年3月時点では3.8倍となっていたが、Supercellやガンホー・オンライン・エンターテイメント、Alibaba一部株式の売却や、今回のARM買収によって4.4倍まで上昇した。
孫氏は、中長期でこの倍率を3.5倍まで下げる予定であると説明し、「それがソフトバンクにとって心地よいバランス」と語った。また、「純有利子負債に対して、いざとなれば売れる資産が重要。仮に売ったとしても本業に差し支えない資産が9兆円あるので、私に言わせれば、(ARMの買収は)実質無借金だ」との持論を展開した。
苦戦が続いていた米Sprintについても、2年前は62万のマイナスだったポストペイド携帯電話の純増数が、17万のプラスまで改善。孫氏によると、過去5年で初のMNP純増に転じたという。解約率も2年前の2.02%から1.39%まで下がっている。
調整後のEBITDAは前年同期比18%増の25億ドルで、調整後のフリーキャッシュフローも1年前のマイナス22億ドルから、5億ドルのプラスとなった。孫氏は「これまでは(グループの)足を引っ張っていたが、業績が著しく改善している。これからは我々の利益に貢献する側に転換する、稼ぎ頭になる」と自信を見せた。
これまでSprintの立て直しに、自身の多くの時間を割いてきた孫氏だが、ARMの買収によって変化はあるのだろうか。この疑問に対し、これまではSprintに50%の時間を充てていたが、今後はSprintとARMに45%ずつ充て、残りの10%をその他の事業に充てると説明。ただし、国内の通信事業は引き続き、主力事業であると強調した。
また7月25日には、米国の大手通信会社Verizonが、米Yahooの中核事業を約48億ドルで買収することを発表した。ソフトバンクが米Yahooを買収する道はなかったのかという質問に対し、孫氏は「それは我々が20年前にYahoo! JAPANで打った手だ。それを20年後に彼らが打った」とコメント。米Yahooを買収する気はなかったことを明らかにした。
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