グリーと一般社団法人VRコンソーシアムは5月10日、日本のVR市場を盛り上げることを目的にしたカンファレンス「Japan VR Summit」を開催した。「VRがもたらす大変革」と題する最初のセッションには、VRヘッドセットの代表格ともいえる「Oculus Rift」「HTC Vive」「Playstation VR(PSVR)」を手がける、それぞれの責任者が登壇した。
セッションでは、まず各社の製品が紹介された。Oculus Riftは、昨今のVRブームの火付け役ともいえるVRヘッドセット。価格は約9万4600円。2012年8月に創業し、クラウドファンディングサイト「Kick Starter」で資金募集を開始。その翌年となる2013年3月に開発者向けのDK1を出荷し、2016年3月に製品版となるOculus Riftの出荷を開始した。2014年7月にはFacebookの傘下に入っている。
同社では現在、Oculus Rift向けのコンテンツの充実に力を注いでおり、3月末時点で50タイトルを揃えている。また、VR空間に手を表示し“触れる”感覚を再現する独自開発のコントローラー「Oculus Touch」も発表しているが、2016年下半期に発売が延期された。将来的にはヘッドセットをメガネサイズまで小型化し、現実とVRの世界を意識せずに行き来できるようにしたいとしている。
HTC Viveは、スマートフォンメーカーとして知られるHTCと、PCゲーム配信プラットフォーム「Stream」を提供するValveが共同開発したVRヘッドセット。価格は約11万2000円。2016年1月のイベント「CES」で発表され、4月6日に出荷が始まった。両手をVR空間に表示させられるコントローラーを同梱するほか、部屋全体をVR空間にしてその中を自由に歩ける「ルームスケールVR」などが特徴だ。現実世界で設けられている、さまざまな“制限”を超えた体験の提供を目指している。
PSVRは、ソニーが手がけたVRヘッドセット。10月に発売予定で価格は約4万8600円。Oculus RiftやHTC ViveがPCベースであるのに対し、PSVRはPlayStation4(プレイステーション4)に接続するだけで誰でも簡単にVR体験ができることが特徴。また、他の2製品は不動産や教育、観光など、幅広い用途に使えることをアピールしているが、当初のPSVRはゲーム体験の進化を追及するデバイスとなっている。
同日のセッションで登壇したのは、Oculus Partnerships Lead, Japanの池田輝和氏、 HTC Corporation VP, Virtual Reality New TechnologyのRaymond Pao氏、 ソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏。モデレーターは、ダンボール製VRヘッドセットを手がけるハコスコ代表取締役の藤井直敬氏が務めた。
藤井氏からはいくつかのテーマが投げかけられたが、特にユニークだったのが「お互いの製品のスゴイと思うところを教えてください」という質問だ。「お互いに褒め合ってもらいます(笑)」(藤井氏)。
これに対し、まずソニーの吉田氏がOculus Riftについてコメント。DK1の出荷によって、世界中のVRコンテンツの開発を一気に進めた功績を称えた。また、もしOculus Riftによって世間のVRに対する理解が進んでいなければ、「開発メンバーがPSVRを推進していく力を(社内で)持っていたか。今のような順調なものにはならなかったと思う」(吉田氏)と振り返った。
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