8年前に東京都主催のネット・スマホ利用の注意を喚起するイベントに登壇した時は、「ネットでは素性が偽れます。ネットで出会った人には会わないこと」と言えた。逮捕された出会い系被害事件の加害者の多くが年齢・性別・職業などを偽っていたというデータを示し、危険性を訴えれば良かった。
ところが、最近はNHKなどの番組でも、「ただ『ネットで知り合った人とは会わない』という禁止は実情にそぐわないし、効果は薄い」と考えており、「会うならどうすれば危険を防げるか」というアドバイスを求められることが多くなっている。
10代はネットで知り合った人にごく自然に出会っている。周囲に相談できる人がいなかったり、同じ趣味の人がいなかったりする場合、ネットでの出会いは有効なことがある。しかし、すでに述べた通り、ネットでは素性や本心などを偽れるため、直接の対面は推奨できないし、それでも会う場合は細心の注意を払う必要がある。もし10代の子どもがどうしても会いたいと譲らない場合は、以下の点に注意させたい。
やりとりしている相手のプロフィールは詐称かもしれない。信頼できる相手か否かを知るためには、Facebookアカウントなど実名性の高いサービスのアカウントを確認したり、SNSの過去の投稿、交友関係などを見るとある程度把握できる。事前に電話をしたり、ビデオチャットなどで話してみるのもいいだろう。もちろん、相手に渡す個人情報は最低限に抑えておくこと。
もう1つ大切なことは、日中に人けが多いところで会い、夜遅い時間や人けのない場所では会わないことだ。できれば友人などと複数人で会うのがお勧めだ。相手の様子がおかしい時には、すぐに逃げたり、助けを求めたりできることが大切なのだ。
念のため、会いに行く相手と場所は、親か友達などに伝えておこう。相手にも場所や人物を知っている人がいることを伝えておくといいだろう。LINEなどで場所などを随時報告するのもお勧めだ。
ネット経由で知り合い、直接会うことは、もはや10代に浸透してしまっている。やみくもに禁止しても保護者に黙って会い、その結果被害に遭っては意味がない。何よりも子どもの身に危険が及ばないことが重要だ。子どもには、ネット経由で出会うことの危険性を正しく伝え、万が一会う場合にはリスク対策を取るように伝えることが必要なのではないだろうか。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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