もうひとつの遊びの要素として「ルーム」という、事務所風の部屋が用意されている。家具や小物、壁飾り、さらには壁紙や床、背景までもが箱庭感覚で自由自在に彩ることができるというもの。各種アイテムは、ルームショップからLIVEパートなどで手に入るマネーで購入することができる。アイテムの多くは部屋を彩る飾りだが、なかには特訓アイテムが入手できる宅配ボックスや、LIVEパートでの各タイプのアピール値が上昇するスペースなど、設置することによって効果を発揮するアイテムもある。
ルームではアイドルが2Dの2頭身のちびキャラとなって自由に歩き回り、時には椅子に座ったりぬいぐるみを抱きしめたりと、さまざまな反応をする。ちょこまかと動くアイドルたちの姿を眺めているだけでもかなり楽しめる。そしてほかのプロデューサー(プレイヤー)が見学することも可能。さらにLikeを付けると、ローカルガシャに使える友情ptがお互いに入る仕組みも用意されている。
LIVEパートのリズムゲームは奇をてらったものではなくオーソドックスなシステム。難易度も幅広くしてあるうえ、判定自体もタップする位置やタイミングが比較的緩めになっているため、スマートフォン向けのリズムゲームとしては遊びやすくなっている。端末設定はもとより、配信からすでに4カ月ほど経過していることもあってか、流れるイコンの速度調整やリズムアイコンの設定も細やかに追加されており、遊びやすさには相当配慮していると感じている。
シンデレラガールズの楽曲は、頭に超が付くほどの個性的なアイドルたちを表現するソロ曲が多いため、クセも強いがバラエティに富んでいる。一方全員で歌うような楽曲はアイドルソングのような耳なじみやすい曲が揃っている。ソロ曲は個人の好みによって受け入れられる度合いが異なると思うが、キャラクターを理解する第一歩としても最適だと感じている。楽曲数についても、収録されていない関連楽曲は豊富に存在するため、順次追加していくこと想定すればより遊びがいが感じられるだろう。
率直な感想としては、リズムゲームだけではない遊びやストーリーの要素が豊富にあり、シンデレラガールズの魅力をより引き立たせているのと同時に、その情報量がとてつもなく多い。なによりプレイヤーやファンである“プロデューサーさん”たちが見たかったものが、デレステにはふんだんに盛り込まれている。特にアイドルのステージシーンや、アイドルコミュにおけるアイドルになる前やプロデューサーとの出会いのシーンなどで感じるところだ。
リッチな演出のステージシーンは、本来リズムゲームを楽しむだけであれば必要なのかという考え方もある。実際に流れてくるアイコンに集中できなかったり、アイコンによっては背景に溶け込み見えずらいものあるため、筆者がLIVEパートを遊ぶ場合は、端末設定を2D軽量にして演出がないものでプレイしている。それであっても、ステージシーンがデレステに必要だと感じているのは、“アイドルたちがステージに立って、歌い踊る姿が見たい”という願望が根底にあるためだ。
スマートデバイスの性能の壁もあるが、それ以上に2Dキャラを3Dで表現することの難しさ、すでに展開している人気コンテンツに対する期待という低くないハードルも存在する。それでもデレステのなかで3Dで歌い踊るアイドルに違和感を感じることはなく、高いクオリティでアイドルたちやステージを表現している。さらに特定のアイドルのみではなく、登場している全員分が用意されているというところは、まさに願望をかなえたものといっていい。
また、アイドルたちの魅力やエピソードはソーシャルゲームやCD、テレビアニメまどさまざまな形で披露されているものの、アイドルになった経緯やプロデューサーとの出会いは意外と描かれておらず、さらに1対1で向き合う姿として深く掘り下げられているというのは、個々のアイドルのプロデューサーさんとしてみたらうれしいものであり、これも見たかったもののひとつだ。またほかのアイドルでも違った一面が垣間見えることもあり、それを発見する楽しみもある。
細かいところでもルームでは通り一辺倒の反応をするだけではなく、複数の反応が用意されているところにもこだわりを感じるところだ。リッチなコンテンツゆえ、ローディングもスマホゲームのなかでは頻繁に起きている印象があるものの、アイドルトピックスという形で、待ち時間の体感を抑えつつアイドルの細かい情報を提供している。
すでにスマホゲームでも定番になりつつあるリズムゲームというジャンルで、しかもヒットコンテンツがベースとしてあるなかでも、高いクオリティとリズムゲームの範囲を超えたボリュームを盛り込んでいるところに、評価や人気の高さを後押ししていると感じている。そしてファン向けだけではなく、コンテンツを知る第一歩としても最適な内容ともなっている。
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