大日本印刷は10月15日、Gemaltoと業務提携し、NFC搭載スマートフォンなどにモバイル決済サービスの機能をネットワーク経由で追加するクラウドサービス「DNPスマートデバイス向けクラウドペイメントサービス」を、2016年春に開始すると発表した。
同社ではこれまでも、決済サービスの導入企業に代わって、おサイフケータイやNFC対応スマートフォンに決済機能を追加するSP-TSM(Service Provider-Trusted Service Manager)サービスを2005年から提供してきた。また、2012年からは決済やポイントなど複数のサービスをスマートフォンで一元管理するプラットフォームサービス「DNPモバイルWalletサービス」を提供しており、企業のモバイル端末向け決済サービスの導入支援をしている。
新たに開始する「DNPスマートデバイス向けクラウドペイメントサービス」は、クレジットカード番号などのカード固有の情報をクラウド上で管理し、ユーザーのスマートフォンにクレジット決済やプリペイド決済、電子マネーといった決済機能を追加するもの。Gemaltoのクラウドペイメントソリューションを採用し、国内の企業に向けてサービスを構築して、大日本印刷のデータセンターから提供する。決済機能だけでなく、ポイントサービスやクーポン、各種会員カード、IDカードなどの機能の追加にも対応するという。
スマートフォンをICカードのように機能させる「ICチップ セキュアエレメント」の実装方式は、SIMカード内に格納する「SIM型」、専用チップを内蔵する「eSE(embedded Secure Element)方式」、microSDカードを利用する方式、物理的に搭載せずにクラウド上の機密データを使う「HCE(Host Card Emulation)型」、CPUのセキュリティ領域を利用する「TEE(Trusted Execution Environment)型」など複数ある。
同社では、既存のSP-TSMサービスで対応していた「SIM型」に加え、Gemaltoとの提携により、すべての方式に対応するという。これにより、iPhoneやAndroid OS搭載のスマートフォンなど、多様なデバイスに対応できるようになった。また、今後普及が見込まれるウェアラブル端末などへの対応も進める。
決済機能を利用する時のユーザーインターフェースとしては、店頭の決済端末を利用し、スマートフォンのNFCやディスプレイに表示した二次元コードを読み取る方式のほか、インターネットでIDとパスワードで認証して決済する方式などに対応する。利用可能な決済サービスは、VISA、MasterCard、JCB、American Expressなど。
クレジットカード番号の一部をダミー番号(トークン)に置き換えてスマートフォンに格納する「トークナイゼーション」に対応しており、トークンを安全にスマートフォンに格納し、元のクレジットカード番号とトークンを関連付けてクラウド上で管理できるという。
大日本印刷では、銀行、クレジットカード会社、決済代行会社、流通企業、通販事業者などを中心に、「DNPスマートデバイス向けクラウドペイメントサービス」をDNPモバイルWalletサービスなどとともに提案し、2019年度までの5年間で約50億円の売上を見込んでいる。
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