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Wearable Tech Expo 2015

スタートアップと実現するイノベーション--エンタープライズが組むメリット

特集

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 9月7~8日に開催された「Wearable TECH Expo 2015」。2日目の8日は、ハードウェアスタートアップのためのアクセラレーションプログラム・HAX(ハックス)のゼネラルパートナーを務めるBenjamin Joffe氏が登場、「スタートアップと実現するイノベーション:大企業がメリットを得るためのハードウェアスタートアップとの付き合い方」と題し講演した。


HAXのゼネラルパートナー、Benjamin Joffe氏

 HAXは、中国の深センに本拠を置く、ハードウェアのアクセラレーター。年に2回アクセレートプログラムを実施し、創業から3年の間に受け入れたスタートアップチームは85にも及ぶ。投資先の主要なカテゴリは、ロボティックスをはじめ、IoTツール、医療デバイス、コンシューマ向けのライフスタイルプロダクトなどで、40%がアジア、60%が北米のチームだという。

 HAXに参加するスタートアップチームは、まずは深センで戦略を立案した後、具体的なデザインやコンポーネントのソーシング、サプライチェーンを構築し、最終的にはシリコンバレーでデモンストレーションを実施する。その後、メディア発表やパートナーや投資家の前でお披露目し、市場参入するというのがプログラムの流れだ。Joffe氏は、深センを拠点にする理由を次のように説明する。

 「数年前までは深センは、ネガティブな報道も多く、ブラックボックスだと言われていた。しかし、人口1000万人ほどの大都市。街は近代化されており、動きが早い都市でもあり、スタートアップにとっては好都合な地域。さらに、数年前にスタートアップ企業の参入が開放され、小さな規模でも製品が製造できるようになった。いまや中国において、早くて安く拡張性があり高品質なものはすべて深センで作られていると言ってよい。電気分野の大手企業が進出し、中国においてのエレクトロニクスの首都的存在。シリコンバレーのような場所にもなっている」

 こうした中、スタートアップが大企業と組むことの意義を次のように語る。「両者の大きな違いには、リソースの問題がある。たくさんのリソースを人材面でも実績面でも持っている上、流通チャネルも資本も持っているのが大企業。一方、スタートアップは人的にも金銭的にも時間的にもリソースがないが、アイディアを持っている。大企業がそんなに簡単にはやれないリスクをとることもできるので、コラボレーションの方法はさまざまにある」

 その実例として、具体的に挙げられたのがKokoonというイギリスのスタートアップだ。センサを取り付けて脳波を計測し、快適な眠りをもたらせる睡眠用のヘッドフォンをHAXとともに開発した。しかし、Kokoon自体は工業デザインやセンシングの企業で、オーディオメーカーではない。そこで、日本のオーディオ機器メーカーであるオンキヨーとパートナーシップを組み、開発を進めた。

 その結果、Kickstarterで集めた投資額は2万ドルほど。協力したオンキヨー側も「これまでに考えたことがなかったマーケットがあったと気付いて驚いた。既存にはない新しいカテゴリを考え出すことができたほか、低予算でも商品化できたことに感銘を受けていた」とJoffe氏。

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