Wikimedia Foundationは米国時間3月10日、米憲法で保障されている同団体の「Wikipedia」上での権利を、米国家安全保障局(NSA)と米司法省が侵害しているとして、米メリーランド地区連邦地方裁判所に訴状を提出した。Wikimediaは、インターネット上で大規模に情報収集しているNSAのプログラム(「Upstream」監視として知られている)が、言論の自由を保障する米憲法修正第1条の違反であり、また不当な捜索や押収を禁止している米憲法修正第4条にも違反していると主張している。
Wikimediaによると、他にHuman Rights WatchやAmnesty Internationalなど8団体が原告に加わっており、米国自由人権協会(ACLU)が代表を務めるという。Wikimediaは「約1年」にわたってこの訴訟を準備してきたと、同団体の法律顧問を務めるGeoff Brigham氏は述べた。
Wikimediaは3月10日、ブログで次のように書いた。「プライバシーは個人の自由の基本原則であり、表現や結社の自由を維持する普遍的権利だ。これらの原則は、探求、対話、創造を可能にするもので、地球上の誰もが、すべての人類の知識の集合に自由にアクセスできるようにするというWikimediaのビジョンの中核を成す。(中略)もし人々が、検索する前に背後の目を気にしたり、論議を呼ぶ記事に関して寄稿する前にためらったり、事実だと確認できるが不人気の情報を共有しなくなったりすると、それによってWikimediaと世界の価値は落ちてしまう」
Edward Snowden氏によるリークが始まって以降、米政府は、米国民から通信記録や情報を傍受しているとされる主張を避けている。米国の外国諜報活動偵察法(FISA)は、米国市民へのスパイ行為を許可していない。ACLUとWikimediaは、監視機関がそうした法令を侵害していると考えている。
Wikipediaの共同創設者であるJimmy Wales氏は、The New York Timesに寄稿した3月10日の論説記事の中で、ウェブ上における米政府の大規模な情報収集はWikipediaをターゲットにしており、その多くは匿名で活動しようとしている同サービスのユーザーを妨害していると主張した。
詰まるところ、Wikimediaは米政府にUpstream監視をやめてほしいと考えており、これが違憲であることを認めるよう裁判所に求めている。
今回の訴訟ではさらに、Upstream監視の恒久的な禁止も要求しており、米政府に対し、この監視の一環として収集したすべての通信記録を破棄するよう求めている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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