米国と英国は、携帯電話で使われているSIMカードをハッキングしたのだろうか?この疑問を、あるSIMカードメーカーが調査しようとしている。
オランダの企業であるGemaltoは携帯電話用のSIMカードを製造しており、AT&T、Verizon Wireless、T-Mobile US、Sprintをはじめ世界中の通信事業者450社ほどに販売している。SIMカードには、所有者の電話番号、課金情報、連絡先、テキストメッセージなど、通常なら保護された個人情報が格納される。これらのカードは、暗号鍵によってハッキングから保護されている。
しかし、The Interceptが米国時間2月19日に掲載した記事によると、米国の国家安全保障局(NSA)と英国の政府通信本部(GCHQ)の合同チームがGemaltoの社内ネットワークに侵入して、同社製SIMカードの保護に使われている暗号鍵を盗み出したという。これが事実なら、NSAとGCHQは世界中のユーザーの個人データにアクセスしたり、携帯電話の音声通信やデータ通信を傍受したりできたということになる。The Interceptは、NSAの元契約社員で後に内部告発者となったEdward Snowden氏がリークした文書を引用して、このハッキングは2010年と2011年に行われたと伝えている。なお、The Interceptの創設者であるGlenn Greenwald氏は、Snowden氏の内部告発をメディアに公開する際に仲介役を果たしたジャーナリストだ。
政府による監視という問題は、インターネットが企業や一般市民の日常生活の一部になり始めて以来、20年以上にわたって拭い去れない懸念となっている。だが、こうした心配は、Snowden氏が2013年に初めて機密情報を暴露したことをきっかけに、その後もさまざまな疑惑が指摘されたことで、一気に大きな問題へと発展した。つい先ごろには、セキュリティ企業のKaspersky Labが発した警告を受けて、NSAがハードドライブを感染させてコンピュータを監視するスパイプログラムを埋め込んでいる可能性があると報じられた。
Gemaltoは、同社製SIMカードに関する報道を受けて、現地時間2月20日に声明を出し、この問題を調査していると述べた。
Gemaltoは次のように説明している。「われわれは今回の報道を極めて深刻に受け止めており、必要なあらゆるリソースを投じて十分に調査し、このような洗練された技術の及ぶ範囲を理解するつもりだ。われわれは、この早い段階で報道の真偽を検証することはできないし、これらの機関がこうした活動を行っていたことは今まで認識していなかった」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス