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企業成長に欠かせない営業とマーケティングのボーダレス

別井貴志 (編集部)2014年11月21日 16時01分

 ビジネスを展開する上でマーケティングの重要性が一段と高まってきているが、実際にマーケティング施策を実行すると、さまざまな壁や垣根(ボーダー)にあたり、なかなかうまく進まないといったことを感じているビジネスパーソンは少なくないだろう。社内外の組織や部署の垣根をはじめ、経営と現場、企業と消費者、オンラインとオフラインなどなど、多くのボーダーがある。

 こうした1つに、営業部とマーケティング部のボーダーはないだろうか。顧客の購買行動は常に変化しており、営業とマーケティングがボーダーレスに情報を共有することは、もはや競争力に直結する必須の要件となった。どのように営業とマーケティングがコラボレーションして、顧客体験を向上させると共に売上の成長につなげていけばいいか。日本マイクロソフトのDynamicsマーケティング部 シニアプロダクトマネージャーの宇根靖人氏に聞いた。

 宇根氏は、Microsoft Dynamics CRMの日本市場への提供開始より事業に携わり、ソリューション営業、ビジネスパートナーアライアンス担当を経て、現在はMicrosoft Dynamics CRM の製品マーケティングを担当している。また、12月4日に開催する「CNET Japan Live 2014 Winter 『ボーダレス』がマーケティングの決め手」では、「日本企業のマーケティング力は、もっと伸ばせる--3年後に差がつく情報活用のアプローチ」と題して基調講演する。

--まずは現在のビジネス環境を見て、マーケティングの課題をどのように考えていらっしゃいますか。

日本マイクロソフトのDynamicsマーケティング部 シニアプロダクトマネージャーの宇根靖人氏 日本マイクロソフトのDynamicsマーケティング部 シニアプロダクトマネージャーの宇根靖人氏

宇根:われわれ日本マイクロソフトもそうですが、マーケティングの人たちは費用対効果を改めて強く求められていると思います。以前なら、たとえばイベントをやった場合に何人来た、リードがいくつとれた、アンケート結果はどうだったといったことが重要視されていましたが、それだけにとどまらず、最終的にそれが売上につながったかどうかが求められているわけです。

 「売上につながらないのなら、やらなくてもいいのではないか」といった場合にも「こういう効果がありました」と成果をはっきりとしたかたちで示さなければなりません。さらに、そもそも予算が絞られているので、担当者自身も効果を上げやすい案件を把握していなければなりません。つまりは、広告などのターゲティングから、最終的に顧客のアクションにつなげるという部分がKPIになっており、以前よりもマーケティングが計られるようになった面が大きく変化していると思います。その結果、これまでよりも営業とマーケティングのコラボレーション、お互いのフィードバックなどがますます欠かせなくなっています。

 これは、営業からもマーケティングが求められているという言い方もできます。以前は営業部内で完結していた面もあると思いますが、顧客の情報を把握するには普段の営業活動における対面的なものだけが重要ではなくなっています。能動的な顧客もしくは顧客になりそうな人の情報を知るきっかけはデジタルやオンラインが有効になってきています。そうした情報を元に、最終的な商談は営業がするでしょうから、営業はマーケティングがやっていることをきちんと把握しなければなりませんし、反対にマーケティングは売上を上げるための顧客情報を適切に営業に提供しなければならないというプレッシャーや期待が持たれています。

--営業とマーケティングがコラボレーションして成果を上げるというのは、実際にはなかなか難しいのではないでしょうか。そもそも、1つの部署内でのコラボレーションも難しそうです。

宇根:日本マイクロソフトのような会社の規模ですと、マーケティングツールや体制というのが社内にたくさんあって分散しています。イベント担当者など、それぞれに各担当のスペシャリストがいますが、営業とマーケティングがつながるのと同様に、マーケティングもそれぞれの施策やチャネル、スペシャリストがつながっていないと、ブランドや商品、製品をきちんと認知させられないでしょう。

 顧客のライフサイクルをきちんとみんなで共有して、パスしていくのが重要だと感じています。効果を計るという面でも、顧客に対して効果的、効率的にアプローチするという面でも、“点”でのアプローチは難しくなっていると思います。

 スペシャリストはもちろん必要ですが、みんながジェネラリストになってもだめですし、マインドセットとして最終的にこういう顧客にイベントに来てもらいとか、売上につながる顧客はこういう人だとかを、きちんと全員で認識して共有しておかない限りは、たとえイベントとしては成功だったとしても、最終的に売上につながらなかったといったことが起こります。

 また、既存の顧客をきちんと継続して捕まえておくこと、まだ顧客になっていない人に対して会社や製品のイメージをきちんと訴求するというブランディングの観点から言うと、以前よりは対面的なことやワンツーワンだけではできなかった部分を、もう少しプログラマチックにマーケティングする必要性も高まってきているのではないでしょうか。

--そうすると、きちんと顧客を理解して、さまざまな仮説を立てて施策を実行し、その成果を把握するためのソリューションやツールはより必須になりますね。

宇根:コラボレーションという面でもそうです。また、顧客が何をしているか、何を求めているかということもデジタルだと把握しやすくなりました。もちろん、把握できるのだから何かアクションにつなげようということです。Microsoft Dynamicsはもともと顧客管理ツール(CRM)として、特に営業面で評価をいただきました。秋からはマーケティング支援機能を新たに追加して、大幅に強化しました。まさに、営業とマーケティングがコラボレーションできるようになったわけです。

 デジタル、トラディショナル含めて、キャンペーンを通じたリードの生成、そのリードの営業への提供、営業からマーケティングへのフィードバック、キャンペーンの効果分析など、上流から下流までが把握できるようになりました。営業が、いまどんなマーケティング施策が進んでいるかを単なるスケジュールだけではなく知ることができ、たとえば自分が担当している顧客に対してどんな施策が展開されてるか、顧客がイベントに来てくれたら営業担当にアラートがでるなどが実現できます。営業とマーケティングがコラボレーションし、顧客を理解した上でその顧客に最適なサービスを提供するとともに、売上につながる効果や成果を出すことを支援します。

--12月4日開催のCNET Japan Live 2014 Winterでは「日本企業のマーケティング力は、もっと伸ばせる--3年後に差がつく情報活用のアプローチ」と題して、営業とマーケティングの抱える課題をどのように解決するかをより詳しく基調講演しますが、どんな方に聴講してほしいですか。

宇根:マーケターの方をはじめ、売上を伸ばしたい営業部長さん、マーケティングが何をやっているかわからないという営業担当者さんですかね(笑)。もちろん、経営者の方にもぜひ聞いていただきたいと思います。見えない顧客に、限られたリソースで最大の売上をあげたいと考えている経営者の方は多いでしょう。講演を通じて、そうした課題解決のお役に立てればと思います。

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