描画画面はLineの画面に似ているが、ツールバーが上部にあり、ツールの数はLineよりもさらに少ない。5種類の描画ツール(1本の鉛筆、1本の極細マーカー(サイズは0.25mmに見える)、1本のブラシ、1本の太字マーカー)と消しゴムがあるだけだ。現在選択している色しか表示されないが、それを押すと、Kulerのさまざまな色やカラーピッカー、下の画像から取得した色、便利な色履歴にアクセスできる。
その横には「Share」メニューと画像を読み込むためのアイコンが配置されている。Sketchでは、Camera RollやCreative Cloudのファイルのほか、タブレットのカメラからも画像を読み込むことができる。Lineと異なり、SketchのTouch Slideは線、円、四角形、三角形など、基本的な形しかサポートしない。写真はトレースだけでなく、コラージュにも使うことができる。拡大表示して、ツールバーが表示されない全画面モードに移行することも可能だ。
ブラシと太字マーカーの挙動はSketchとLineで異なる。Sketchの方が、色の混じり合う度合いが強く、軽い筆圧に敏感なように思える。また、ストロークが重なると、マーカーの濃さが増す。LineとSketchの違いは機能と色だが、インターフェースも若干異なる。そうしなければならない明白な理由はないし、両方のアプリを使うユーザーは苛立ちを感じるかもしれない。例えば、ツールバーは、Sketchでは上部に配置されているのに対し、Lineでは下部に配置されている。
また、Lineではブラシとマーカーのサイズ、不透明度、ブレンドの設定を調節できるのに、Sketchではできないのも不思議だ。例えば、せめてブラシサイズの最小値や不透明度の最大値を設定できたとしたら、とても便利だっただろう。1つの肥大化したアプリを誰も望んでいないことは筆者も分かるが、相違点のいくつかは適当に決められたように思える。
両方のアプリに、ユーザーを苛立たせるかもしれない要素がいくつかある。まず、最も効率的に操作したければ、iOS設定のマルチフィンガージェスチャーを無効にする必要がある。これに関しては、Adobeのせいではない。少なくとも「iOS 7」では、あるアプリの中だけでマルチフィンガージェスチャーを無効にする方法はないからだ。さらに、Sketchを立ち上げると勝手にバックアップが実行されてしまい、バックアップの中止や再スケジュールの手段が一切なかった。
もっと大きな問題がある。これらのアプリは、ユーザーがCreative Cloudにログインしていないと使うことができない。確かにオフラインでも動作するが、それはCreative Cloudにログインした後でオフラインに移行した場合だけだ。Creative Cloudでは一定時間経過後にログイン状態が解除されるため、たまにしか利用しないユーザーは激しい苛立ちを感じるかもしれない。また、先述のように、筆者がテストしたとき、Cloud Clipboardへのアクセスは不安定だった。
InkとSlideのバンドルについての結論を言おう。基本的に、200ドルを支払って、よくできたスタイラスを手に入れるだけだと考えればいい。ちなみに、Jot Touch 4の価格は約90ドルだ。確かにInkはよくできたスタイラスだが、Creative Cloud関連の機能はすべてアプリで再現されている。割高感を抑えるために、例えば、1年間無料の「Photography」サブスクリプションや、既存のCreative Cloudサブスクリプション契約者への割引を提供すべきだ。
既存のCreative Cloudサブスクリプション契約者にとって、LineとSketchは便利ではあるが、これ以上ないほど魅力的なオプションというわけではない。PhotoshopやIllustratorとの同期、Behanceでの共有といったユニークで興味深い機能は、それらのアプリケーションのCreative Cloud版が必要になるため、Creative Cloudの有料会員にしか意味がないものだ。有料サブスクリプションを正当化できる理由を待っていた少数のユーザーにとっては、おそらく同期機能がその理由になるだろう。しかし、単純にスタンドアロンアプリとして見た場合、LineやSketchと同等かそれ以上の選択肢は既にいくつかある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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