UPDATE Googleは、「Gmail」で電子メールをやり取りするユーザーはメッセージのプライバシーが保たれることを期待すべきではないとの見解を明らかにした。
Googleは、データマイニングに関して起こされた自社に対する集団訴訟の棄却を目的として、39ページからなる書面を6月に裁判所に提出している。同社はその書面のなかで、令状なしに電子的な通信の収集を行うことは違法ではないという、1979年の米連邦最高裁判決(Smith v. Maryland)を引用(以下の二重括弧部分)している。
「ビジネスの相手に手紙を出した人物が、相手の秘書によってその手紙を開封されても驚くべきでないのと同様に、今日においてウェブベースの電子メールを利用する人々は、自らの電子メールが送り届けられる過程で、受信者のそれ(電子メールのプロバイダー)によって何らかの処理がなされても驚くべきではない。実際のところ、『第三者に対して任意に情報を提供した人物は、その情報に対するプライバシーの法的保護を期待できない』のである」(Google)
この訴訟の原告らは、電子メールを自動的にスキャンするというGoogleの行為が、電子的なコミュニケーションに対して同意なしに行われる不正傍受に相当すると主張している。しかし、スパムのフィルタリングや、ユーザーへのターゲット広告配信を目的に電子メールを自動的にスキャンしているGoogleは、原告らが同社の電子メールサービスを利用するにあたってその行為に同意したと指摘している。またGoogleは、「(すべての電子メールユーザーが)自らの電子メールの自動処理に対する暗黙の同意を必然的に与えている」との主張を裁判所が支持してきているとも主張している。
公益団体のConsumer Watchdogは、この声明を「驚くべき告白」と呼び、プライバシーを気にする人たちにGoogleの電子メールサービスを使わないよう警告した。
Consumer WatchdogのPrivacy ProjectディレクターであるJohn M. Simpson氏は米国時間8月13日、声明で「Googleの説明には、誤った例えが使われている。電子メールを送付するのは、手紙を郵便局に渡すのと同じだ」と述べた。「私が郵便局に期待するのは、その手紙を封筒に書かれた住所を元に配達することだ。配達員が封筒を開けて手紙を読むことではない。同様に、私が電子メールを送付する際に期待するのは、Gmailアカウントを持つ目的の相手に電子メールがメールアドレスを元に送信されることだ。その内容をGoogleが傍受して読み取ることをどうして期待するであろうか?」(Simpson氏)
Googleは、Gmailユーザーの電子メールとプライバシーに関する自社の取り扱いを声明で擁護した。
Googleは、「われわれは、ユーザーのプライバシーとセキュリティを大変重要視している。そうではないと主張する最近の報道は、単に誤っている」と声明で述べた。「われわれは、業界トップクラスのセキュリティおよびプライバシー機能をGmailに組み込んでいる。また、誰が電子メールをGmailユーザーに送っても、これらの保護は適用される」
Gmailは2004年のサービス開始直後、議員やプライバシー活動家たちから、インターネットユーザーのプライバシーをあからさまに侵害するものだと激しく非難された。批判する側の人々は、企業が顧客の電子メールの内容をスキャンし、関連する広告を表示する行為を違法にすべきだと主張していた。
編集部注(8月16日12時10分):一部誤解を招く表現がありましたので訂正しました。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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