2013年上半期登場予定の最初のFirefox OS端末は、「現在のフィーチャーフォンの価格帯で、ウェブ利用を第一に考えた性能と機能を持ち、手に取ることに喜びを感じるような端末になる」という。その後、メーカーを拡大し、市場も南米、東欧に拡大する計画という。
モバイルプラットフォームの成功に不可欠なのが、アプリをはじめとするエコシステムだ。これについても、Kovacs氏は自信を見せる。ウェブは実証されているプラットフォームであり、すでにたくさんの開発者がいる。Kovacs氏は「ウェブ開発で使われているHTML、JavaScript、CSSで開発すれば、Firefoxをはじめ、どこでも動く」と述べ、ウェブの持つスケールを強調した。
「あまり言及されていないが、ウェブは活発だ。2年前にはブラウザでニュースを読む人は20%以下だったが、現在は60%を上回っている」(Kovacs氏)。同時に、Mozillaはカメラやアクセラロメーター、(スクロール、ピンチなど)ジェスチャなどのAPIを改善し、多数の仕様を標準化団体に提出していることにも触れた。目標とするシェアについては具体的には答えずに、次のように語った。
「ブラウザと同じだ。5~10%に達すると発言力が出て、市場に影響を与えることができる。ブラウザではFirefoxがIEの独占状態に食い込み、オープンなモデルを持ち込んだ。いまでは多くのブラウザがHTML準拠になった。これは偶然ではなく、われわれのさまざまな活動が実現を後押しした結果だ。同じような進化がモバイルでも起こると信じている」
そういったことから、ブラウザでのChromeとのシェア争いについても、「最終的にはどちらもHTML準拠であり、Mozillaがプッシュしてきたこと。ウェブが勝つことがわれわれにとっての勝利だ。ある程度のシェアがあり、ユーザーに存在感を感じてもらう。イノベーションを続けていればシェアはついてくる」とコメントした。
Firefoxブラウザ側の取り組みとしては、ソーシャルについて触れた。Mozillaは現在、Social APIを通じてブラウザにソーシャル機能の組み込みを進めている。友達とつながり、何をしているのかを中心としたウェブブラウザ体験の提供を目指すという。
「約10年前、検索が重要とわかったときにGoogleと検索統合で協業した。今度はソーシャルで同じサイクルが起こっている」。Mozillaは10月22日にSocial APIを統合したFirefoxのベータ版を公開している。
ウェブの課題のひとつとして懸念されているプライバシーにも話が及んだ。AppleやGoogleなどがユーザーの利用動向を追跡していることがたびたび問題になっているが、Kovacs氏は「どの企業が追跡しているのかではなく、ユーザーがそれを知らないことに問題がある」と言及。今後ウェブが進化し成長するために、「追跡しているのか、どのぐらい自分のことを知っているのか、収集したデータをどうしているのか、などのことを選択、管理できるようになることが必要だ」とKovacs氏は主張している。
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