「それは、タッチスクリーンコンテンツをマルチタッチジェスチャーで動かすという、ユーザーインターフェースの基本コンセプトを対象としている。この目的のための1つの具体的なジェスチャーをプログラムで認識するという1つの特定の方法だけでなく、コンテンツを動かすためのあらゆる方法が含まれる。この特許は、非常にハイレベルのソリューションを記載しているため、事実上、その問題自体、そしてそれに対するあらゆるソリューションへの排他的な権利を主張している」(Mueller氏)
「タッチスクリーン上で、マルチタッチジェスチャーを使ってオブジェクトを動かすのは、非常に基本的な機能だ。マルチタッチでのオブジェクト移動機能なしで、スマートフォンやタブレットが将来の競争に勝てるとは思えない」(Mueller氏)
--そうなるとこの場合、Appleは非常に意地悪な立場にあるのか。
Appleの株主や野心的な経営陣に聞けば、そうは言わないだろう。もちろんJobs氏には、「iPhone」が最初に使ったアイデアを採用しているスマートフォンたち対し、個人的に言いたいことがあるようだ。しかし、企業があらゆるメリットを生かそうとするのは、Appleだけの戦略ではない。
Appleの製品は、現在ある一連のスマートフォンの技術革新を引き起こした。また、高い競争力を持ち利益を重視する企業が、そのビジネスの核心となる特許を急に軽く扱うようなことがあったら驚くだろう。
元業界アナリストで、現在はクライアントに対して「iOS」開発問題に関する助言を行っているZachary氏は、「Appleは、2005年にFingerWorksを買収して以来、ジェスチャーによるインターフェースの特許を定期的に申請している。同社は、この分野の競争ではかなり有利なスタートを切っており、それは、Appleが自社の知的所有権を守れるという点では幸先がよい」と述べている。
MicrosoftやIBMなどいくつかの企業は、特許ライセンス契約から収入を得ている。しかしAppleは異なる振る舞いを見せているとZachary氏は言う。
「Appleが特許を入手する戦略の一環としてのみ特許契約を結んでいるようだ。新興のタブレット市場で、Appleが自社のジェスチャー関連特許ポートフォリオを幅広く守ろうとすれば、ほかのテクノロジ企業による技術革新を遅らせる可能性がある。双方向的でない限り、Appleが自社の特許ポートフォリオをライセンスすることを選ぶとはとても思えない」(Zachary氏)
これは、HTCなど、より小規模な新規参入企業にとっては良くない話だ。特許とは独占を認めるものであり、競争的な製品に不可欠なテクノロジを使わせなければ、ライバル企業は深刻な影響を受けかねない。
--Appleの競合他社はどう見ているのか。
競合他社はコメントを出していない。サムスン、Microsoft、Googleはこの記事に対するコメントを控えている。
ただし、競合他社が喜ぶとは思えない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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