楽天の成功パターンは、「差分プラスオリジナリティ」だという。競合との差分をなくし、さらにオリジナリティをプラスするということである。それを楽天レシピにあてはめると、競合サイトであるクックパッドと同レベルのサイトの仕組みやレシピ量を提供し、さらに付加価値としてクックパッドが有料で提供しているランキング機能を無料提供したり、ユーザーの投稿にポイントを付与したりしている。
濱野氏は「結論からいうと、楽天だから成功するサービスがいくつかあるが、そのなかの1つがレシピサイト」と言い切った。
楽天ブログを書いているとポイント増、楽天カードを使っているとポイント増などの施策も検討しているという。子会社の楽天KCが発行するカードの会員は2010年9月末時点で541万人にのぼる。カード会員がレシピを投稿してポイントを稼ぎ、また楽天で買い物をするという流れも期待できる。「これぞ楽天経済圏というモデルをしっかりと作れるはず」(濱野氏)。
楽天によれば、2010年12月末時点のレシピサイトの月間訪問者数ランキングは、1位のクックパッドが797万人、2位のYahoo!レシピが290万人、3位の楽天レシピが216万人。楽天レシピはオープン初月の10月に早くも当時3位だったレシピブログを抜き去り、すでにヤフー!レシピも射程圏内にある。
現在楽天レシピには1日700件のレシピが集まるという。レシピの累計投稿数は4万件で、3月までに10万件を達成することが当面の目標だ。「まだ訪問者拡大に向けた施策にまでは手が回っていないが、半年後にはSEOが効いてきて閲覧者も増えるはず。楽天ユーザーを呼ぶだけでもクックパッドは抜けると思うが、テレビCMを流せばそのスピードは早まるだろう」(濱野氏)。
「まずは閲覧者数で1位になりたい。クックパッドにはできれば年内にキャッチアップしたい」と意気込みを語った。
ところで、女性の目を意識した楽天レシピは、ほかの楽天のサイトと比べるとデザインが大きく異なることに気づく。たとえば楽天市場は全体的に派手な色使いで、文字の装飾も非常に目立つ、いわゆる“楽天らしい”デザイン。購買意欲をかきたてるという効果があるのかもしれないが、好き嫌いは分かれそうだ。一方の楽天レシピは中間色を使ったおとなしく見やすいデザインで、レシピコンテンツを際立たせている。
楽天レシピ編集長の行木宏枝氏によれば、楽天の良さを残しつつ、最適化したのだという。「楽天らしさは残しながらも、レシピがおいしくみえるようにした。トップページに載せている『ピックアップレシピ』などの写真はきれいに見えるように手動で加工している」
また、楽天レシピを使っている人をTwitterでサポートしたり、レシピ作成者のブログにコメントしたりと、これまで楽天としては例がなかったようなコミュニケーションにも取り組んでいるという。
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