Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏は、先週のD: All Things Digitalカンファレンスでパーソナルコンピュータを擁護した。Ballmer氏は、「iPad」のような特殊デバイスは必要以上のもので、必ずしも手ごろな価格ではない場合があるため、「汎用」PCの繁栄は今後も続くと述べている。Ballmer氏の言っていることは正しいのだろうか。
同氏はiPadに関する質問と、iPadはPCなのかという質問を受けて、iPadや特殊デバイスの値ごろ感という点を指摘し、次のように述べた。「本当に重要なのは、PCとは何かという質問だ。今日PC上で行っていることが明日になれば重要でなくなる、ということは決してない。使用事例はさまざまだ。現在、そうした作業はPC上で行われることもあるし、代替デバイス上で行われることもある。(そして、後者の)人気は今後、高まっていくだろう。それは間違いない。特にエンターテインメント関連の場面ではそうなるはずだ。(しかし)ユーザーが求めることをすべて実行できる汎用デバイスは、今後も存在し続けるだろう。なぜなら、世界のすべての人々が1人あたり5台のデバイスを買えるようになるとは思えないからだ」(Ballmer氏)
Ballmer氏の主張は的を射ている。多くのユーザーにとって、iPadは必要以上のものだ。なぜなら、(大まかに言って)iPadでできるほぼすべてのことはノートPCでもできるからだ。しかし、その逆は真ではない。iPadは一部のことを極めて優雅にこなし(例えば電子書籍の閲覧)、そのほかのことは全くできない(Adobeの「Flash」や高い処理能力が必要な生産性アプリケーションの実行など)特殊デバイスだ。Ballmer氏はiPadの実用性を激しく非難し、その中でiPadに対するこうした批判の具体例を挙げた。「昨日、ある人がわたしとの会議の中で、iPadを使ってメモを取ろうとした。それは楽しい体験だった。その会議はあまりはかどらなかった」(Ballmer氏)
とは言え、Microsoftにとっての課題は、従来のPC設計以外の成長市場を見つけることだ。それに関してはAppleがリードしている。そのため、Appleと同社のCEOであるSteve Jobs氏にすべての注目が集まった。
MicrosoftもIntelも、Appleのために、次世代PC設計への移行を早めることを余儀なくされている、と言っても間違いではないだろう。Ballmer氏はiPadとタブレットに関する追加の質問を受けて、PCの形状が変化していること、その根幹をなすチップが変わっていることを指摘した。「PCのフォームファクタはこれからも変化し続けると思う。2011年、2012年と時が進むにつれて、PCの外観は今とは違ったものになるだろう。『Windows』を動作させる根幹部分の半導体インフラストラクチャも変化する。世界はシステムオンチップへの移行を進めている」(Ballmer氏)
Ballmer氏は特に言及しなかったが、Appleは同社のすべての売れ筋デバイス(「iPod」と「iPhone」、iPad)で、既にシステムオンチップへの移行を済ませている。一方、Microsoftの長年のパートナーであるIntelは、最近になってようやく同社の「Moorestown」という「Z6 Atom」システムオンチップの出荷を開始した。しかし、Moorestownは次版が出るまで、それほど大きな勢力にはならないとみられている。
したがって、Microsoft(とIntel)が考えるべき問題は、次世代の汎用PCはどのようなものになるのかということかもしれない。それはタブレットとノートPCのハイブリッドになるのだろうか。タッチインターフェースを備え、より強力で見栄えの良いノートPCになるのだろうか。2011年までには、その答えが分かるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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