Microsoftは、いまだに新たなモバイルブラウザ「Internet Explorer(IE) 6 for Windows Mobile」のリリース段階には至っていないものの、筆者は、米国時間9月10日にMicrosoftが開催したイベントにて、このブラウザを事前にチェックする機会に恵まれた。
IE 6 for Windows Mobileの最大の利点は、「IE 6」と同じフルレンダリングエンジンが採用されている点にあり、PC上のIE 6で、正しくレンダリングされたホームページであれば、どれでも問題なくWindows Mobile上で閲覧できるということを意味している。MicrosoftのWindows Mobile部門シニアディレクターであるTim McDonough氏は、標準的なMSNのホームページを、IE 6 for Windows Mobile上で見せてくれた。
筆者は今回、タッチスクリーン非対応デバイス向けの「Windows Mobile Standard」で稼動するブラウザをチェックした。このブラウザでは、Dパッドコントローラを用いて、リンクからリンクへとスムーズに移動することができたのだが、やはりタッチスクリーンほど優れたエクスペリエンスではない。筆者は、IE 6 for Windows Mobileが、タッチスクリーン対応のWindows Mobileデバイスで、どのように動作するのかを、ぜひとも見てみたいと思っているが、ただし、「iPhone」で実現するようなレベルのナビゲーションが可能になるとは期待していない。
ナビゲーションは、iPhoneが優れているのは間違いないだろう。とはいえ、IE 6 for Windows Mobileでは、Flashが完全にサポートされるなど、いくつかの大きな利点もある。
McDonough氏は「現在の市場の状況は、『このホームページを見られるだろうか?』といった段階だが、われわれは、もう間もなく『インターネット上で何ができるだろうか?』という段階まで達することになりそうだ。これこそ、われわれが真に実力を発揮できる分野となる」と語った。
IE 6 for Windows Mobileで興味深い別の点は、サイトのモバイル版と、スタンダードなデスクトップ版とを、非常にスムーズに切り替えられることにある。IE 6 for Windows Mobileで、ホームページの完全版を閲覧できるからといって、だれもがそう望むとは限らない。とりわけ欧州では、いわゆる「無制限」のデータプランでさえ、一般的にデータ通信量の上限を定めており、スタンダードなホームページを数多く閲覧していると、この上限に、すぐに達してしまうことがよくあるため、特にモバイル版の閲覧機能が重宝されるだろう。IE 6 for Windows Mobileでは、どのタイプのホームページを閲覧したいのかに応じて、異なるユーザーエージェントを送信することで、モバイル版とスタンダードなデスクトップ版のページを、自由に切り替えることができる。
McDonough氏は、正式なIE 6 for Windows Mobileのリリース時期に関して、特に最新情報を明らかにしなかったが、「年内のリリースが目指される」とだけ伝えてくれた。
これは、Windows Mobileデバイスのメーカーにとっては、Appleのブラウジングエクスペリエンスに対抗するため、引き続き厳しい競争を強いられることを意味している。このエクスペリエンスのギャップを埋めるため、現在では多くの人々が、モバイル版のIEに勝るナビゲーションとレンダリングを提供する「Opera」ブラウザを、好んでWindows Mobile上で用いるようになっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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