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ひろゆき氏が考える、ニコニコ動画と日本の目指すべき方向性とは

永井美智子(編集部)2008年03月17日 08時00分

 ねこ鍋、初音ミク、THE IDOLM@STER――2007年にネット業界で大きく話題になったこれらは、いずれもニワンゴが運営する動画コミュニケーションサービス「ニコニコ動画」で人気に火がついたコンテンツだ。

 ニコニコ動画は、ユーザーが動画を投稿し、その再生画面上に別のユーザーがコメントを書き込んでいくことで、ユーザー間で盛り上がれるサービスだ。2006年12月に試験サービスを、2007年1月に本サービスを開始。当初はYouTubeなど外部サイトの動画にコメントを付けられるサービスとして開始したものの、アクセス数が伸びすぎてYouTubeから接続を遮断される事態に。その後、動画投稿サービス「SMILEVIDEO」を2007年3月に自社で開始し、1年後の2008年3月には会員数が560万人に達した。年内には1000万人規模にまで拡大する計画だ。

 CNET Japanではニワンゴの取締役管理人であり、2ちゃんねるの管理人「ひろゆき」としても知られる西村博之氏に、ニコニコ動画が人気を得ている理由や運営のコツ、開発秘話などについて聞いた。今回は、ニコニコ動画誕生時の話や、目指している将来像、西村氏がこだわっている部分、さらには日本が目指すべき方向などについての話を紹介する。なお、前回の『ひろゆき氏が明かす、「ニコニコ動画が人気な理由」と「コミュニティ運営のコツ」』ではニコニコ動画というコミュニティを運営する上での鍵について語ってくれている。

――ニコニコ動画が生まれた頃の話を聞かせてください。

 数年前に、携帯電話アプリで2ちゃんねるの実況板をテレビ番組と連動させて流すという実験をしたことがあって、その頃からテレビ関係のものは何かやると面白そうだよね、という話はしていたんです。

――プロトタイプを見た瞬間に面白いと思いましたか。

ひろゆきこと西村博之氏

 「YouTubeでいいんだ」というのが僕にとっては割と面白かったですね。当時、YouTube以外の動画サービスはまだあまり普及していない頃で、僕はテレビと(実況板のコメントを)どうくっつけるかというのを考えていたんですね。テレビだと、同じ番組でも地域によって放映時間が違っていたりするので、関東圏の人はみんなで盛り上がれるけれども地方の人はまったく面白くない。2ちゃんねるの実況板の問題はそこにありました。

 で、YouTube実装版をみて、「あ、時間は関係ないんだ」って。それですごいなと。関東限定でしかできないと思っていたサービスが世界中でできるじゃないかと思いました。

 その頃はこんなに大きなサービスになると思っていなかったから、あまり細かいことは覚えていないんですけどね。

 当時のYouTubeの国内ユーザー数が確か1000万人いないくらいで、その3分の1くらいはいけるんじゃないかな、とは思っていました。そもそもまだYouTubeの日本語版がない頃だったので、「YouTubeというものが流行しているらしいけれども、使い方が分からない 」という人がいる。検索しても英語のものと日本語のものが混ざって出てくるし、面白いものがどれだか分からない。初めの頃のニコニコ動画はYouTubeなどの動画のうち、日本人が面白いと思うものだけが登録されていたので、フィルタリングがされていたんですよ。だもんで、割と面白がられて使われるんじゃないかという期待はしていたんですけれど。いまやぜんぜん違うサービスになりましたけどね。

――何か、今のニコニコ動画の方向性を決めたきっかけがあったんですか。

 まぁ、YouTubeに(接続を)切られたことだと思うんですけど(笑)

 YouTubeがなかったら、今こうなっていなかったですしね。しかも良いタイミングで切られたので、余計大きくなったっていう(笑)。あのタイミングは今考えると切られて良かったと言えるのかもしれない。

 多分YouTubeのままだったら、初音ミクのようなブームだったり、ユーザーがいろいろ曲作ったりということは生まれなかったと思うんですよね。「YouTubeにある素材を楽しもう、僕らは別に作り手じゃないよ」というのが最初のニコニコ動画の概念で。それよりもやっぱり今のほうが僕は面白いと思っているので、そこの文化を作れたのは、YouTubeに切られたからなんですよね。そういう意味では、変な組み合わせですけどYouTubeには感謝していると。

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