続いて川崎氏は、ネットでのメディアの影響力について簡単な分析を行って見せた。はてなブックマークにおける日本の5大新聞のブックマーク数を見ると、朝日新聞の約20万を筆頭に、10万弱の読売新聞、毎日新聞が続く。
ところが、オンラインのニュースサイトを含めると、はてなブックマークでは意外なほど既存メディアの存在感が目立たなくなる。特に、読売新聞は発行部数が1000万部超と日本最大にもかかわらず、あまりブックマークされていない。
ソーシャルブックマークの普及に伴い、情報収集の流れにも大きな変化が生じている。同じメディアをずっと購読し続けるのではなく、面白い記事の掲載されていたメディアをしばらくチェックし、つまらなければさっさと解除してしまうようになってきているのだ。こうした状況から、メディアにもブックマークされやすい/されにくい構造があり、今後は(ソーシャルブックマークなどの)ソーシャルメディアに対して記事を最適化することが重要になってくると、川崎氏は指摘した。
はてなが新しいサービスを次々と生み出す背景には、独特の企業文化があるようだ。はてなの社員は現在20名で、過半数がエンジニア。社員のバックグラウンドは元Google社員から元ニートまでと、実に多様である。
こうした多様な人材が、「試行錯誤」と「前言撤回」を何度も繰り返しながら、サービスに取り組むため、スピードの速い展開が可能になっているのだという。ちなみに、社長の近藤氏は将来的には音声データも検索の対象になると考えており、会議の音声もすべて録音するなど、他の企業には見られないユニークな取り組みを行っている。
はてなの収益源は広告事業だが、Web APIを活用して自動化を進めることで収益性を高めている。同時に、エンジニアのスキルを活かして、ユニークなタイアップ戦略も手がける。例えば、日産ティーダのプロモーションでは、ティーダが画面を走りその走行距離が表示されるなど、ユーザーが遊べる次世代の広告を提案している。
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