かつてはソーシャルネットワークの世界で他社をリードしていたFriendsterが、新機能「Fan Profiles」を発表した。これは、有名人、バンド、企業、非営利団体などが、Friendster内で宣伝活動を行えるというサービスだ。
同サービスを率先して使い始めた利用者として、米民主党の大統領候補Hillary Clinton氏、コメディアンのDane Cook氏、ポップパンクバンドのFall Out Boyなどが名を連ねている。彼らはすでにFriendster上に「Fan Profiles用のプロフィール」を作成している。
同サービスは米国時間9月27日、ニューヨークで開催中の消費者テクノロジ見本市「DigitalLife」のマスコミ向け昼食会で正式に発表された。
これは苦戦を強いられているFriendsterが繰り出した大胆な一手と言えるが、これで同社の市場シェアを取り戻す取り組みが大きく前進するとは思えない。同社は現在、FacebookおよびMySpace.comの後塵を拝している。ただし、アジア太平洋地域では確実にユーザーを獲得しているとFriendsterが主張している点は、注目に値する。総ユーザー数5000万人のうち、実に3500万人が同地域のユーザーで、これを受けて同社では9月24日に中国語版サイトをリリースしている。
MySpaceでは、バンドや政治家のプロフィールを、会員の「友人」リスト内にある通常のユーザーページと区別なく、同列で表示している(米民主党大統領候補のBarack Obama氏が、自分のページの「トップ8」に入る可能性があるのもそのためだ)。これに対し、Friendsterは両者をはっきりと区別することで、Fan Profiles自体を差別化しようとしている。
Fan Profileのプロフィールは、通常のFriendsterのプロフィールとは別種類のアカウントで、そのため、友人リストとは別のリストに表示される。インターフェースも多少異なるほか、連絡先リストの管理機能や大量のメール送受信に関する機能が強化されている。Fan ProfilesはYahooやGoogleなどのウェブ検索に対してもより最適化されている。別の言い方をすれば、これは二本立ての作戦でFriendsterのトラフィックを押し上げようとする試みなのもしれない。
そして、誰でもFan Profilesに登録できるというわけではなさそうだ。Friendster内に特別なページが用意されており、アーティストや組織はここ経由でFriendsterにFan Profiles用プロフィールの取得を申請する仕組みだ。
しかし、このサービスに関するFriendsterのプレスリリースを見ると、やや首をかしげたくなる文言が目につく。例えば「Fan Profilesには一斉招待機能があり、連絡先リストを通じて大量のファンが招待できる」という一節だ。
この「一斉招待」という表現は、「Friendster」の名前でスパムが大量にばらまかれる危険性をはらんでおり、よからぬ兆候と言える。さらに「ファンには、あなたがプロフィールの編集やブログの更新、写真のアップロードあるいは新コンテンツの投入を行うたびに、更新が通知される」とある。
これも、あまり良い仕組みのようには思えない。人は一般に、ソーシャルメディア系のサイトから一斉送信されるメールの受け取りを好まない傾向があるからだ。そのあたりのことは、コンタクト情報やスケジュールの管理サービスを提供する企業、Plaxoに訊いてみればいい。
一見したところ、Fan ProfilesのリリースがFriendsterの抱える問題を大幅に改善するようには見えない。しかし、ソーシャルメディアの世界は、ご存じの通り、驚くべきことが起こる可能性を秘めている。とはいえ、今回の新機能で本当にそうなるかというと、かなり疑わしい。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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