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収益が見えないことは、やらない理由にはならない--インフォテリアUSA江島氏

永井美智子(編集部)2007年09月10日 16時59分

 オープンソースソフトやWeb APIを活用したサービスが数多く生まれている。ここで活躍するプログラマーは何を思い、どういった点に気をつけながらサービスを開発、提供しているのだろうか。

 ここに焦点を当てたイベント日経BP社主催のイベント「ITPro Challenge!」が9月7日、東京都内で開催された。会場は70人規模と小さいながら、業界で活躍する多くの著名プログラマーが一般聴講者として参加し、熱気に包まれた会となった。

070907_ejima.jpg 江島氏の小中学生時代の趣味はゲーム作り。電器屋に通っては店頭のPCでプログラムを書き、カセットに保存して、また翌週電器屋に行ってコードの続きを書く、ということを繰り返していたという

 登壇したInfoteria USA社長の江島健太郎氏は、当初講演依頼を受けたとき、「まだ成功したプロダクトを出せていない状況なので、断ろうと思った」という。ただ、自分がいろいろなプログラマーの講演を聞いていたときには「この人たちはすごいことをやり遂げたから堂々と話せるんだろう」と感じていたことから、「今もがいている人の話にも意味があるのではないか」と感じて引き受けたとのことだ。

 江島氏が社長を務めるInfoteria USAは、インフォテリアの米国法人にあたる。当初はインフォテリアの主力製品「ASTERIA」を米国で販売する支社として設立したが、すぐに江島氏はその難しさに気づいた。

 「米国は、日本に比べて人口密度が低い。サンフランシスコの人口は約75万人で、岡山市と同じくらいしか人がいない。しかも国土は広い。こういった環境では、スターバックスやマクドナルドのように、どこでも同じものを提供できる形で“広く浅く”やらないと勝てないどころか、話にならない」

米国の「想像」と「現実」 江島氏が話す米国の「想像」と「現実」。日本とは違うビジネス形態が求められるという

 しかも、江島氏が米国に来たのは2005年。当時米国ではすでに「Web 2.0」という言葉が使われはじめ、インフォテリアが得意とするエンタープライズシステムは斜陽産業とまで言われた。「俺は何をしに米国まで来たんだ」という思いが江島氏を包み込んだ。

 ASTERIAを販売するのが難しいとしたら、代わりに何を提供したらいいのか。ここでも江島氏は壁にぶつかる。

 「ビジネスというのは、人が求めるものを提供した対価としてお金をもらうもの。でも、現代は足りないものがない時代。求められることがそもそもない中で、どう生きたらいいだろうか」

 江島氏がたどり着いた選択肢は2つ。1つは、足りないものがないのであれば、「満足してニートになる」というもの。そしてもう1つは、現在は求められていないけれども、将来求められる可能性のあるものを自ら創り出すというものだ。そして江島氏は後者を選んだ。

 製品を開発する際に気をつけたのは、娯楽性と実用性を兼ね備えるという点だ。「娯楽品は面白いから口コミで広まって盛り上がる。娯楽だけだとすぐに消費されて飽きられる。実用品は飽きられることなく、生活の一部に取り込まれる。でも、地味なので流行する要素がまったくない。良いものを作ったけれども売れない、というのはこういうパターン」

 「いま実用品として使われているものは、両方がうまく橋渡しされている。最初は遊びのための道具として広まり、それがやがて仕事でも使われだす。PCも最初はゲームを作るなど一部の人が使っていたし、携帯電話も遊びで使われるようになって広まり、今ではビジネスにも使える、というようになって発展した。ウェブの世界でも、そういうものを作りたいと思った」

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