2001年に設立されたスピーシーズは、国内外の大学や研究機関などに「NetBSD」を使った研究開発用ロボット約200台の納入実績を持つ企業だ。2005年6月に燃料電池を搭載した2足歩行ロボット「Speecys-FC」を発売、2006年4月には世界初となるインターネットロボットを発表し、世界中のロボット業界から大きな注目を集めている。
そのスピーシーズが今回発表したのは、頭部に27万画素のカラービデオカメラを内蔵した「SPC-101C」。全高33cm、重量1.5kgのコンパクトボディーにIEEE802.11gの無線LAN機能を搭載しており、インターネット経由での制御が可能となっている。OSはNetBSDをベースとした「SpeecysOS Rev.2.0」で、CPU「RPU-50」とサーボ「RS301CR」はともに双葉電子工業製。22の間接自由度を持ち、ダンスなど多彩な動きを再現できる。電源は、内蔵のリチウムポリマー充電池およびACアダプタを用いた2ウェイ方式。手と胸に合計105個のLEDを搭載するほか、ステレオスピーカーやminiSDスロットも装備している。
会場ではインターネット経由での操作に加えて、音声認識とカメラ機能を用いたSPC-101Cのデモが行われた。音声認識は、あらかじめPC内に登録しておいたボイスコマンドをモーション用のIDに変換、ネットワークを通じてSPC-101Cへ送信するというもの。これにより「前」「後ろ」「右旋回」などの声に呼応したアクションだけでなく、「メール」で新着メールの読み上げ、「スケジュール」でスケジュールの読み上げ、「イントロ」で自己紹介コメントの再生、といったことも可能になっている。また、PCに接続されたマイクからの入力以外に、携帯電話からの音声をSkype経由で受信するデモも実施された。
カメラ機能については、人物の顔を捉える顔認識のほか、移動する物体の自動追尾を行う動体検知が可能となっている。さらに、人物の目、鼻、口など5カ所のパーツから表情を読み取る、顔認識を応用した別アプリケーション「GanMo!」も披露された。
スピーシーズ代表取締役の春日知昭氏は「今まで多くのロボットは、ITと切り離された別の世界で物事が進んできました。しかし私たちは、ITとロボットをつなげたいという意識で取り組んでいます」と語る。従来の一般的なロボットは、各分野ごとの目的に特化したハードウェア指向がメインだった。しかし同社では、ITと融合したソフトウェア指向のロボットを目指すという。その具体的な取り組みの一環が、今回発表されたSPC-101Cの販売以外に、ロボットアプリケーション開発の促進を目的としたアプリケーションソフト開発環境「OpenRoads」の公開、さらにはイベントなどでロボットの利用サービスを提供する「ロボットタレント派遣事業(Robot Event Production)」の開始である。
OpenRoadsは無償で利用が可能であり、再配布や商用利用も可能。また、同社で開発したPCアプリケーションソフトウェア「101-VCE」のソースコードも開示される。これにより、より多くのエンジニアの知識を交換できるコミュニティーの提供と、ロボットの可能性拡大を見込んでいるという。
ロボットタレント派遣事業については、対象となる商品や店舗を盛り上げるための名脇役として、各種イベントなどにロボットを派遣するというもの。高度なプログラミングを容易に実現できる、同社ロボットの特徴を活かした事業と言える。9月4日〜15日に開催される携帯電話との連携によるロボットイベント「KDDIイベント」では、ダンスや対話、ゲームなどが実施される予定だ。また、10月2日〜6日に開催される「CEATEC JAPAN」の数社ブースにて展示が行われるほか、10月20日〜21日の「アキバ・ロボット運動会2007」にも出展が決定している。ちなみにロボットタレントの派遣費用については、イベントの構成によってケースバイケースになるという。
なお、SPC-101Cの希望小売価格は33万6000円。コンシューマ向けには少々高めの価格設定となっているのは、ソフトウェア開発者をメインターゲットをしているため。また、用途に応じて選べるよう、カメラ機能を搭載しない従来モデルSPC-101(希望小売価格:29万4000円)の販売も継続されるという。
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