サンフランシスコ発--Googleの最高経営責任者(CEO)、Eric Schmidt氏は米国時間11月7日、サンフランシスコで開催中の「Web 2.0 Summit」で、同社がリリースを開始しているウェブベースの各種アプリケーションについて語った。Googleがこれらのアプリケーションで目指しているのは、新たなネットワークコンピューティングであって、Microsoftをターゲットにしたものではないという。
同氏は「対話」と題されたセッションの中で、「Google Docs & Spreadsheets」のようなアプリケーションは、一般に言われているように、Microsoftのデスクトップアプリケーション「Office」と直接競合するよう設計されたものではないと述べた。
「われわれは、これをオフィススイートとは位置づけていない。もっと気軽に使えるもの--別のひとつの情報管理の方法、と考えている」(Schmidt氏)
Googleの製品は、どこのどんな機器からでも情報にアクセスできるうえに無料だが、Microsoftのアプリケーションはデスクトップ上に保存され、しかも無料ではないとSchmidt氏は指摘する。
Google Docs & Spreadsheetsのようなアプリケーションのデータは、ネットワーク上のどこかにあるサーバ上のストレージに依存する。これがネットワークコンピューティングの大前提だとSchmidt氏は言う。ブロードバンド接続が普及し、信頼できるサーバーファームが増えたことで、1990年代半ばに夢見られたネットワークコンピューティング--Schmidt氏が以前勤めていたSun MicrosystemsとOracleが描いた構想--を実現できる環境がついに整ったと同氏は語る。
Schmidt氏によると、当時はネットワークコンピュータなど「まったく機能しなかった」という。「ここに来てようやく、アーキテクチャが機能するようになった」のだと同氏は説明する。
「基本的に、現金はポケットに入れておくより銀行に預けておくほうがいい」のと同じで、ソフトウェアもサーバに置いておくほうがいい、と同氏は語った。
またSchmidt氏には、なぜGoogleはビデオ共有サイトのYouTubeを買収したのか、YouTubeの買収は「Google Video」が成功しなかったからか、との質問が投げかけられた。Schmidt氏の回答は、Google Videoは「非常にうまくいっていた」が、YouTubeの事業は「それ以上に急成長している」というものだった。同氏はYouTubeの確立したユーザーベースと「口コミ式に広がるコンポーネント」を理由に、GoogleとしてはYouTubeを独立した資産として保持していく考えであることを明らかにした。
さらにSchmidt氏は、Googleが16億5000万ドルの買収金額のうち、ほぼ5億ドルを著作権関連の訴訟費用としてプールしている、とのうわさを否定した。Googleは現在、この複雑に入り組んだ問題について大手メディア企業と話し合っているという。
Schmidt氏は、ユーザーが検索履歴を異なる検索エンジン間でインポート/エクスポートできるようにしたいと述べた。「考え方としては、電話番号ポータビリティのようなものを提供したい」(Schmidt氏)
Googleは何よりユーザーの権利を尊重するとSchmidt氏は話す。「彼ら(ユーザー)の利益に反することをしないかぎり、問題はない。Googleにできることが増えれば増えるほど(よいのだ)。たとえば、ユーザーがデータをあちこち持ち運べるようにする--そしてわれわれがそれを横取りしない、といったことだ」と同氏は語った。
Googleは、利用者の多い同社のオークション形式での広告販売を行う新たな分野を開拓すべく、積極的に動いているという。「ラジオにはとくに力を注いでいる」とSchmidt氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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