New York Post(NYPost)に掲載された「YOUTUBE'S GOT A FAT IDEA OF ITSELF」という記事をネタ元に、Mashable!とTechCrunchがともにYouTubeの売却の可能性について触れているので、今日はそのことについて少し書きたい。
ネタ元の記事を書いたNYPostのSam Gustinという記者は、「業界のしかるべき筋(senior industry source)」の話として、「YouTubeを立ち上げたChad Hurleyが大手のメディア/ネット企業との間で、同社の売却に関する話を進めている」と記している。交渉相手として名前が挙がっているのは、eBay、Disney、 Viacom、AOL、Yahoo、News Corp.だが、ただしYouTube側が「15億ドル以下では売らない("YouTube...won't sell itself for anything less than $1.5 billion")」といっていることから、「果たしてその金額で引き取り手が現れるのだろうか」という点に話の主題はシフトする。
「2億ドルもしくは3億ドルで手を打ってくれるなら、明日にでも買うのだが("If they were willing to take $200 million to $300 million, I would buy it tomorrow")」という業界筋のコメントが引用されているが、実際にYouTubeの評価額はごく短期間に急上昇したようだ。この記事によると、今年春には6億ドルだったものが、夏には10億ドルの声も聞かれるようになったという(これとほぼ同レベルの金額が浮上していることは、8月に公開したスペシャルレポートのなかでも言及されている)。
今回の「マジックナンバー」である15億ドルという金額が高いか安いかについては、TechCrunchのMichael Arringtonが詳しく考えを述べている。(詳細は日本語版を参照のこと)。
Arringtonは、「ソニーによるGrouperの買収額が6500万ドルだったことを考えると、トラフィック面でみればYouTubeのバリュエーションは20億ドルにのぼるとも見られる。YouTubeが15億ドルを手にするのはそんなに遠い先のことではないかもしれない」としつつ、同時に、著作権関連の問題に対する懸念をあげ、「知的財産権に関する争いに関して強い意志を持った買い手を見つけること、さらに堅固な法務チームを見つけることが先決だ」との考えを結論として示している。またNYPostに対しては、「著作権侵害行為を基盤にした事業をしている企業が株式公開に成功した例はひとつもない。なので、先に大手の著作権保有者すべてと折り合いを付けることが、株式公開にあたっての必須事項だ("No company whose business was based on copyright infringement ever successfully went public...So it's going to be a requirement that they get in bed with every major copyright holder before they can do it.")」とのコメントを寄せている。
Arringtonは、現在YouTubeで1日あたり1億以上のビデオが観られていることを元に、各ビデオのお終いの部分に広告を入れるとして、1CPM(1000回視聴)あたりの単価を1ドルに設定しても、毎日10万ドル(=1年で3650万ドル)の売上があがると試算(YouTubeの勢いを考えると、ビデオの視聴回数は今後さらに増えるだろう)。この3650万ドルを現在の為替レートで換算すると、およそ42〜43億円になる。
先ごろ上場を果たしたミクシィの2007年3月期の売上予想が47億8900万円で、時価総額は2200億円あまり。無論この2社を単純に比較することはできないはずだが(第一、YouTubeについては純利益の予想さえ出ていない)、それでもこの15億ドル(約1760億円)というYouTubeの「言い値」が割安かどうか。その点がやはり気になるところである。
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